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| 「ギアをあげて、風を鳴らして」 ★★☆ 小説すばる新人賞 | |
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痛快かつ爽快なシスターフッド物語。 ただし、その主人公となる二人は、小四女子。 父親が大手生命保険会社勤めのため転勤が頻繁とあって、そのたびに引越、転校を繰り返してきたのが渡来(わたらい)クミ。 そのクミが近畿地方の小さな町に引っ越してきたことで、二人の出会いが生じます。 もう一人の主人公は、吉沢癒知(ゆち)。そのキャラクター設定に仰天します。宗教団体<荻堂創流会>近畿支部の“降り子”(創父親の生まれ変わり)だというのですから。著者の平石さん、なんと大胆な! この二人の出会い始め、3回戦が面白い。とくに2回戦目! 単に如才ないだけじゃない、クミのストレートな率直さが素晴らしい。 そんな過程を経て二人の間にシフターフッドという関係が生まれるのですが、好いですねぇ〜。 いろいろな状況設定も申し分ない。癒知の傍らには、癒知の在り様を気遣ってくれる森田という世話役の青年がいるし、デカボン公園で手に入れた秘密の隠れ家も面白い。 一方、二人が共通して抱える悩みごとは、互いの母親のこと。 二人の友情は輝かしく、そして気の合わせ方も素晴らしい。 そして何といっても、最後の疾走感が堪らない! 表紙の、自転車の二人乗りの絵、最初はとくに感じることはなかったのですが、読み終えた今、凄く良い! ※なお本作、ラストシーンがまずあり、それから、そこに至るまでのストーリーが出来上がったそうです。 お薦め! |