雛倉さりえ作品のページ


1995年生。16歳の時に執筆した短篇「ジェリー・フィッシュ」が第11回「女による女のためのR-18文学賞」の最終候補に選ばれて話題となり、金子修介監督により映画化。

 


                   

「ジゼルの叫び ★★


ジゼルの叫び

2017年07月
新潮社刊

(1500円+税)



2017/08/12



amazon.co.jp

バレリーナという世界に自分の存在価値全てを賭けた少女たちの孤独な姿を、連作形式で描いた長編。

共通の舞台は<金田バレエ教室>。
そこにはかつて
佐波明穂という天才少女がおり、今は彼女の後を追うように、端島(はしま)澄乃という18歳の少女がプロのダンサーになるべく将来を嘱望されている。

「みどりの焔」の主人公は、その澄乃の双子の姉である彩乃。自分は逃げてしまったバレエの世界で高みを目指し続ける澄乃との距離の大きさを感じている。
「鋼の脚で」:家族は自堕落な母親と2人だけという林るり江。自分の存在価値を感じるためにバレエにしがみつく。
「かたちの記憶」:金田先生の息子である形郎、ふとしたことから林るり江と言葉を交わすようになります。るり江と会うたびに思い出すのは佐波明穂のこと。
「硝子のむこう」:澄乃と高校の同級生である新川朝香。スマホゲームに夢中の自分とまるで異なり、足先の変形にもかかわらずバレエに邁進している澄乃に、何故そこまでして?と感じる。
「泥と梨と」澄乃、自殺した明穂の姿をいつも追いながらバレエに向かっている。その心のうちは・・・。
「幕間:みずうみへ」:父親に振り向いてもらうためバレエを続けた明穂でしたが、結局・・・・。

「神さまのつまさき」:金田バレエ教室の発表会。演目は“ジゼル”。主役ジゼルを演じるのは澄乃、そして精霊ウィリーたちの女王ミルタを演じるのがるり江。
澄乃に張合おうかというように踊ろうとするるり江、胸の内で明穂と対峙するかのように踊る澄乃の2人が醸し出す緊迫感、細部の描写はまさに圧巻です。
この場面にこそ、本作の真価があるように感じます。


1.みどりの焔/2.鋼の脚で/3.かたちの記憶/4.硝子のむこう/5.泥と梨と/幕間.みずうみへ/6.神さまのつまさき

        


   

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