橋口いくよ
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1974年鹿児島県生、静岡県育ち。2001年「愛の種。」にて作家デビュー。

 


   

●「だれが産むか」● ★☆




2010年02月
幻冬舎刊

(1400円+税)

 

2010/04/07

 

amazon.co.jp

27歳から41歳まで、子供を産む、産まないという選択を否応なく突きつけられる5人の女性を主人公にした、連作短篇集。

当然にして女性5人の状況、考え方もそれぞれ。
・未婚のフリーライター=光理(ひかり)は不倫恋愛中。結婚願望も子供を産みたいという願望もなし。
・出版社勤務のOL=英美は、それなりに可愛かったこともあって彼氏に不自由しなかったこともあり、そのうち誰かと結婚し、その延長で子も産むのだろうなと思っていたら、何も起きないまま。だからといって積極的に何かをしようという気持はない。
・専業主婦=万由子は、一度流産した後妊娠の兆し全くなし。それならそれでこのままで良いと思っていたのに、亭主が何を誤解したのか不妊治療することに。
・イベントコンパニオン=理緒は、年を重ねるに連れ依頼仕事の内容が落ちているのに焦る思い。それでもまだ気楽に遊んでいたいし、妊娠して体の線が崩れるのは嫌、という風。
・お互いに浮気相手を持ち、夫婦間はセックスレスという女性経営者=美樹子、いい加減離婚を言い出してやろうかと思うのですが、結果は・・・。

女性だからといって、誰もが結婚したいという訳でなし、結婚したからといって誰もが子供を産みたいと思っている訳ではない。
結婚し子供を産んだからといって、それを強く望んだからとも限らない。
それなのに、子供を産んだ女性と比較されると、見下げられた感じ。
誰がそんな優劣を決めたのか、と抗議したい気持ち、判るような気がします。とはいっても、男性ですからどこか他人事であるのは否めません。
本短篇集、同じような年代の女性ならばこそ、共感できるところ多いのではないかと思います。

「誰が産むか」は、堀光理が雑誌に連載したコラムの題名。

堀光理(33歳・ライター・未婚)/真野英美(33歳・出版社勤務・未婚)/野口万由子(35歳・専業主婦・既婚)/飯田理緒(27歳・イベントコンパニオン・未婚)/田崎美樹子(41歳・会社経営・既婚)/堀光理(〃)

                


   

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