長谷川まりる作品のページ


1989年長野県諏訪郡原村生、東京都青梅市育ち。職業能力開発総合大学東京校産業デザイン科卒。創作同人会「駒草」所属。2018年「お絵かき禁止の国」にて第59回講談社児童文学新人賞佳作を受賞し、同作にて作家デビュー。22年「かすみ川の人魚」にて第55回日本児童文学者協会新人賞、24年「杉森くんを殺すには」にて第62回野間児童文芸賞を受賞。

 


                    

「杉森くんを殺すには ★★★       野間児童文芸賞


杉森くんを殺すには

2023年09月
くもん出版

(1400円+税)



2024/11/30



amazon.co.jp

野間児童文芸賞受賞作と知って読んだ作品。
とはいえ、本作題名には驚きました。ショッキング、と言って良い程に。
一体、主人公と「
杉森くん」の間に何があったのか、杉森くんとは殺したいと思われるような人物なのか、と。

主人公は15歳、高校一年生の
「ヒロ」こと広瀬結愛(ゆあ)
冒頭、信頼する相談相手である義兄
ミトさん(大学三年生)に、ヒロが「杉森くんを殺すことにしたの」と打ち明ける処から始まります。
ミトさんからのアドバイスは二つ。ひとつは、やり残したことをやっておくこと。もうひとつは、杉森くんを殺さなきゃいけない理由をまとめておくこと。
そこから各章、ヒロの現在進行中の日々と、杉森くんを殺す理由が、順次語られて行きます。

ストーリーの進展に連れ、ヒロが杉森くんを殺そうと決めた深い事情、理由が徐々に分かってきます・・・何と切ない。
ヒロにも至らない処はあったでしょう、でもだからといってヒロが重荷を背負わされて言い訳はありません。
そうした中で、ヒロと新たに友だちとなったクラスメイトたちの関りも描かれて行きます。
それによってどれだけヒロが救われたことか。ヒロは決して孤独ではなかった、だからこそ・・・と感じられます。

驚きに満ちた、そしてこれ以上ないくらいに切ない、高校生の青春記。
本作に出会えてよかった。 是非お薦めしたい一冊です。

       


   

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