藤岡陽子作品のページ No.2



11.
この世界で君に逢いたい

12.海とジイ

【作家歴】、いつまでも白い羽根、海路、トライアウト、手のひらの音符、波風、闇から届く命、晴れたらいいね、おしょりん、テミスの休息、満天のゴール

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11.
「この世界で君に逢いたい ★☆


この世界で君に逢いたい

2018年07月
光文社刊

(1500円+税)



2018/08/11



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恋人の松川夏美に勧められ、一緒に与那国島へ観光にやって来た須藤周二
その島で
久遠花という美少女に出逢った周二は、その途端に立ち尽くします。
何故なら、訳ありで親の元から保護され、東京から与那国島に移り住んで暮らしているというその花が、10歳の時に死んだ周二の従妹=
美羽そのものに思えたから。

美羽が死んだ時からずっと後悔の念に囚われて来た周二と、探しているものが何かわからず今も見つけられないままという花。
その2人はお互いの出逢いがきっかけとなって、失くしていたものを見つけ出そうと行動しだします。
それを見つけた時、ようやく新たな一歩を踏み出せるかもしれないと思って・・・・。

ちょっと不思議なストーリィ。
でも与那国島、南西諸島という舞台が、それを自然に受け入れさせてくれるようです。

子供や親に左右されざるをえない存在であり、本書における痛ましさもそこにありますが、自分を最後まで守ろうとしてくれた存在があったことは、何と救いだったことでしょうか。

最後、主人公が新たな一歩を踏み出そうとするエンディングには心を洗われるような思いがします。

              

12.
「海とジイ ★★


海とジイ

2018年11月
小学館刊

(1400円+税)



2018/12/09



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イジメがきっかけとなって1年間不登校状態が続く小学生、20年勤めてきた診療所の閉院が決まり居場所を失った思いの中年看護師、靭帯断裂で駅伝ランナーとして挫折した高校生。
ちょっと弱気になった彼らの気持ちを勇気づけてくれたのは、瀬戸内海の小島に住む3人のジイたちだった、という3篇。

長い人生から見れば、誰しも何度かの挫折を味わうもの。
そんな時に親というのは、関係が近いが故にかえって難しいのかのかもしれません。
「夕凪」はちょっと異なりますが、「海神」「波光」で主人公を元気づけてくれるのは、会うことがなかった、あるいは会わなくなって久しいジイ(祖父)たち。
そのジイたちにしろ、悔恨や悲しみを何度も味わって来た筈。だからこそ、その力強い励ましの思いが、胸に届くのでしょう。

主人公たちが東京から向かうのは、一旦四国に渡り、多度津港からフェリーで向かうしかない、瀬戸内海の小島。
いずれも、同じ島が舞台になっているようで、その辺りは嬉しいところ。

温かく、気持ち良いストーリィ。
現実にはいろいろ厳しい問題もあるあろう、住民数の減少が続く小島での生活ですが、日常生活から切り離され、気分を変えてみるには良い環境だったのかもしれません。
3人のジイたち、いずれも味わいある人物ですが、やはり一番惹かれるのは、「海神」の
真鍋清次でしょうか。

「海神」:癌末期の祖父にひ孫の顔を見せてやってほしいと請われ、千佳は現在不登校中の優生と幼稚園児の茉由を連れ、その住む島へと向かう・・・。
・「夕凪」:診療所閉院を決めた
月島医師、突然に姿を消した月島を心配し、看護師の志木は月島を追いかけて、瀬戸内海の小島へと向かう・・・。
・「波光」:一人暮らしの祖父を心配した母親に言い付けられ、大学センター試験直前にもかかわらず、受験生の
戸田零二は祖父の住む島へ向かう・・・。

※表紙の絵も好いですよね。

海神(わだつみ)/夕凪(ゆうなぎ)/波光(はこう)

      

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