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1.ジニのパズル 2.pray human |
1. | |
「ジニのパズル」 ★★☆ 群像新人文学賞 | |
2019年03月
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東京→ハワイ州→オレゴン州と渡り歩いてきて、今またオレゴン州の高校で退学処分になりかけている少女パク・ジニ。 主人公のジニは在日朝鮮人。小学校は日本の私立学校に通っていたものの、中学進学にあたって朝鮮学校に転じます。 何故誰も声を上げないのか、朝鮮学校だからといって何故北朝鮮の行動是非を論じてはいけないのか。 本作品は著者の体験に基づくものだと思います。 |
「pray human」 ★★ | |
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芥川賞候補となった主人公は、意外な人物から電話を受ける。 それは、主人公が17歳の時に入院した精神科病院で患者たちのボス株だった女性=安城さん。 見舞いに通うようになった主人公は、その安城さんからの強烈な言葉に、これまでの自分のことについて語り出す、というストーリィ。 精神病院で一緒だった仲間たちのこと、共感し合い親友という関係であったにもかかわらず彼女を自殺から救えなかった悔い、性的悪戯を受けた過去・・・。 精神病院に何故入院していたのか、退院したのは治療が終わったからか、といったことは余り語られません。 そのため、精神病院に入院していたという事実だけが強く印象付けられます。 読み終えて強く感じたことは、生きるという平凡なことに苦しんできた主人公たちのこと。 何故苦しんでいたのかと言えば、それは生きようとしていたからこそなのではないでしょうか。 たとえ苦しむことが色々あっても、強く生きる、本作からはその強いメッセージを感じます。 「ジニのパズル」に続く、若い女性の切実なストーリィです。 |