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1991年生、慶應義塾大学卒。2021年からTwitterに投稿していた小説が「タワマン文学」として話題になる。22年、ショートストーリー集「この部屋から東京タワーは永遠に見えない」にて作家デビュー。

  


       

「令和元年の人生ゲーム ★★   




2024年02月
文藝春秋

(1500円+税)



2024/07/05



amazon.co.jp

直木賞候補作、ということで読んだ一冊。
著者2作目となる本作のテーマは、<Z世代の生き方>だそうです。

各篇に登場する若者たち、私の世代からすると、皆驚くほど
“意識が高い”と感じさせられます。
そんな彼らに冷や水を浴びせるような言葉を吐くのが、各篇に共通して登場する
沼田、という人物。
意識の高い若者たちと対極にいる人物と言えますが、現実問題として若者たちの皆が皆、意識が高い人ばかりとはとても思えません。楽して十分な給料が得られ、自尊心を満たす待遇が得られればそれこそ言うことはない、という人が大多数なのではないでしょうか。
つまり、沼田くんという人物は、旧世代を代表するキャラクターということではなく、本音を表したキャラクターではないかと思います。

いずれにせよ、Z世代だからどちらか、ということではなく、どちらもあり、様々な姿があるという現実を伝えるストーリーと感じます。

「平成28年」:主人公は慶應義塾大学商学部2年、ビジコン運営サークルに入部。意気盛んなサークル代表と対照的だったのが、沼田くん。
「平成31年」:主人公は人材事業大手の新入社員。その同期が沼田で、皆が敬遠する地味な総務部への配属を希望。
「令和 4年」:主人公は、勤務先が新たに始めた大学生向け大型シェアハウスのチューターを命じられます。同じ社会人チューターとなった一人が沼田。
「令和 5年」:主人公は、都内にある老舗銭湯の未来を考える会に参加。そのメンバーの一人が、昨年勤務先を退職したばかりという沼田・・・。

Z世代の人から見ると、あるある、という話が多いのかも。


第1話 平成28年/第2話 平成31年/第3話 令和4年/第4話 令和5年

           


  

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