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●「雪の夜話(よばなし)」● ★☆ |
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こんなに暑くなってから「雪」の物語を読みたくはなかったというのが本音ですが、図書館依存故にそれはやむなし。 雪子との逢瀬を幾度も繰り返しながら、主人公がやっと自分に欠けているものを見出していくという、ファンタジーな自分探しのストーリィ。 雪子の人物造形に惹かれますし、私としては好きなタイプの作品ですけれど、理屈っぽさがファンタジーな面白さへの仇となっている印象は拭えません。 |
「ビザール・ラヴ・トライアングル」 ★★ |
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優しく、切なく、そしてファンタジック。そんな味わいの内に人間のはかなさと人間の強さ、そして人と人が繋がることの深さを謳いあげたような作品集。 掲示板でお勧め戴いたのですが、これは出会えて良かった!と思える一冊。 「夕立のあと」、この作品の仕掛けも私は好きです。 ヨーグルトを下さい/夕立のあと/紅い実の川/向日葵の迷路/ビザール・ラヴ・トライアングル |
3. | |
「桜待つ、あの本屋で The Vanishing Cherry Blossom Bookshop」 ★☆ |
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世界のどこともわからない場所に、その本屋カフェはある。 <咲良>という名のその店で訪れる客を待つのは、ワインレッドのジャンパースカート姿の少女と、三毛猫のコバコ(香箱)。 もう会えなくなった、けれど忘れられない相手とのその店での出会いは、思い出の本を開くところから。 消えない想い、ファンタジーな世界、思い出の本、というのが本連作ストーリーの共通項。 いかにもファンタジーで心温まるストーリーという、このところ多く出会う作品と似た趣向と感じるのですが、作為的に過ぎるように感じられて、私としては今一つ、という感想。 ・「肝心なことは、目に見えない」:木佐貫美緒は漫画家、独身。故郷で独り暮らししていた母親が孤独死。その母親が抱えていた事情を、美緒は従兄から聞かされて初めて知り・・・。 ・「百年はもう来ていたんだな」:菊川慎吾、老人施設に入所していて記憶も定かならず。5年前に死去した妻とプロポーズ時にした約束は何だったのか・・・。 ・「陽気で無邪気な残酷なら」:双子の深町果穂と姉の志穂。志穂が東京の大学医学部への進学を決め、初めての別れを迎える。二人が各々こだわりを抱えていた過去とは・・・。 ・「四月の気層のひかりの底を」:十南梢枝、5歳の時に母親が行方不明に。それ以降、書けなくなってしまった作家の父親と二人暮らし。その梢枝、ふと気付くと別世界? 目の前にある店に入ると、少女、やっと来てくれたぁ、と・・・。 ※なお、登場する本は、「星の王子さま」「夢十夜」「ピーターパンとウェンディ」「春と修羅」。 プロローグ/1.肝心なことは、目にみえない/さて次のお客さまは/2.百年はもう来ていたんだな/名前のひみつ/3.陽気で無邪気で残酷なら/すべてのはじまり/4.四月の気層のひかりの底を/エピローグ |