浅倉秋成
(あきなり)作品のページ


1989年生。印刷会社の営業マンを経て2012年「ノワール・レヴナント」にて第13回講談社BOX新人賞Powersを受賞し作家デビュー。


1.六人の嘘つきな大学生

2.俺ではない炎上  

3.家族解散まで千キロメートル 

  


       

1.

「六人の嘘つきな大学生 ★★   


六人の嘘つきな大学生

2021年03月
角川書店

(1600円+税)



2022/07/15



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評判が高いようなので読むことにした一冊です。

現在波に乗っている新興のIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った6人の大学生に示されたのは、一ヶ月後にグループディスカッションを行ってもらう、それまでに最高のチームを作り上げれば六人全員の内定があり得る、というもの。
六人は一致団結して準備を進めるのですが、当日直前に一転、
「六人の中で誰が最も内定に相応しいか」を議論してもらい、選出された一名のみに内定を出す、と変ってしまう。

手を携えていた仲間が一転ライバルに。そして、始まったディスカッションの中、次々とメンバーたちそれぞれの虚偽、汚点が暴かれていきます。
それを仕組んだのは誰か、そして内定を勝ち取るのは誰か、がストーリィの関心点。

本作は二部構成。二部は上記の8年後。前半の主人公とは別の人物が新たな主人公となり、再び犯人探しを行おうとするストーリィなのですが、果たしてどんな展開が待ち受けるのか。

本作の魅力は、生々しい就活現場における事件という、ストーリィ設定の妙でしょう。
そして、本題ではありませんが、会社側における内定者選考の姿勢が如何にいい加減なものか、ということもありうるのだと皮肉っている処もまた面白い。

一方で、本展開、相当に無理矢理だなと感じる処がありますが、ストーリィ仕立ての斬新さを評価したい、と思います。


Employment examination−就職試験−/And then−それから−

            

2.

「俺ではない炎上 ★★   


俺ではない炎上

2022年05月
双葉社

(1650円+税)

2024年06月
双葉文庫



2022/07/24



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何でもインターネット上から情報を仕入れ、その情報を得てして鵜呑みがちな現代社会だからこそ、何時、誰に起きても不思議ではない恐怖劇。

大帝ハウス大善支社の営業部長である
山縣泰介・54歳は、ある日仕事先から会社に戻ると、ネット上で女子大生殺害事件の犯人として名指しされ、しかも素性も全て明らかにされていると知らされ、呆然とします。
全く身に覚えのないこと。しかし、社内の目は泰介をもう犯人としてしか見ていない。
さらに泰介と間違えられた人物が、SNSを見て捕まえようとした人物から暴行を受け意識不明になったというニュースを見て恐怖を覚えます。
証拠すら偽造されていることから、逃走しながら自分で犯人を見つけ出すしかないと覚悟した泰介ですが、多くのユーチューバーたちが泰介の行動を追い、泰介を追い詰めて行きます。

本当に恐ろしい。泰介はごく平凡な会社員。
もし同様のことが自分に起きたら、警察すら犯人と決めつけている状況下、逃げ続けることはできないだろうし、無実のまま犯人にされてしまうのか、という恐怖を感じます。
これが本作の最もスリリングで、強く引き込まれる処です。

さらにSNSの書込みを拡散させた大学生の
住吉初羽馬を唆し、泰介の行方を追う、バッグに包丁2本を忍ばせた「サクラ」と名乗る女子大生の正体は何者なのか?

最後はそういう仕掛けかと驚かされましたが、割とあっさり真犯人が捕らえられたなぁという印象。

なお、本作の面白さは、泰介が元部下から貴方は「恨みを買いやすい人」と指摘され、ショックを受けるも自らを顧みて反省へと向かう処にあります。
人は、自分の知らない間にどんなことで恨みを買っているか分からないもの、と思うと言動には気を付けなければ、と思います。

       

3.

「家族解散まで千キロメートル ★★   


家族解散まで1000キロメートル

2024年03月
角川書店

(1700円+税)



2024/04/23



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バラバラ家族のドタバタコメディ的サスペンス。
そして、次から次へと予想外の事実が起き、その度に主人公たちは振り回され続けます。
幾つもの謎、幾つもの真相が繰り出され、逆転、また逆転。
まったくもう、この家族といったら・・・。

喜佐周(めぐる)は29歳の市役所職員。
結婚が決まった処、姉の
あすなも結婚宣言、兄の惣太郎は既に結婚して独立していることから、両親もこの際引っ越し、古い自宅は取り壊し、喜佐家は解散する予定。
しかし、引っ越しの3日前である元旦、倉庫を片付けようとシャッターを開けると見覚えのない箱があり、その中には由緒ありげな仏像が!
折しもTVニュースで、青森県の
十和田白山神社でご神体が盗まれたとの報道。そのご神体は何と、目の前の仏像そっくり。
またしても、家族内で前科のある父親の仕業か?!
今日中に返却すれば咎めない、という宮司の言葉を信じ、兄弟とあすなの婚約者である
高比良賢人母親の4人は仏像を車に積んで遠路、十和田白山神社に向けて出発します。
一方、あすなと惣太郎の妻である
珠利は、連絡が取れない父親の捜索と役割分担。
仏像窃盗犯?という危機を、喜佐家は乗り越えられるのか。

家族のコメディか、あるいはどんでん返しが狙いか、それとも家族とは何ぞや?という問いかけか、と迷う処ですが、それら全てごっちゃ煮、というストーリーではないかと思います。
最後の最後まで飽きさせないというか、呆れさせる、というか。
さて、決着は・・・。


プロローグ/残りおよそ1000キロメートル/残り937キロメートル/残り789キロメートル/残り737キロメートル/残り392キロメートル/残り216キロメートル/残り117キロメートル/残り5メートル

           


  

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