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1.チグリスとユーフラテス 2.この橋をわたって |
「チグリスとユーフラテス」 ★ 日本SF大賞 | |
2002年05月
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新井素子さんの作品を読むのは本書が初めてです。私にしては珍しいものに手を出したな、
と感じるのですが、表紙デザインの美しさに惹かれたというのが理由です。 ストーリィの舞台は遠い未来に地球から移民した惑星ナイン。最盛期 120万人を擁したナイン社会も、住民の生殖能力が低下し、ついに「最後の子供」ルナに至る。ただ一人残ったルナは、コールド・スリープについていた4人の女性を順番に起こし始める。 「ルナと4人の女たちで語られる、惑星ナインの逆さ年代記」というあらすじです。 SFと、少女小説と、人生ドラマが交じり合ったような、そんな印象を受ける小説。 ルナは何を考え、何のために4人を眠りから呼び起こしたのか。ミステリアスな雰囲気も漂います。マリア・D、ダイアナ・B・ナイン、関口朋美(トモミ・S・ナイン)、レイディ・アカリと時代を遡っていくストーリィ展開は、興味をそそられるものがあります。 その中では、本書の半分を占めるレイディ・アカリの部分が圧倒的に面白いです。その前の3人はレイディ・アカリの前座に過ぎない、と言って良いでしょう。 物語の本筋は何かと言えば、人生論のようです。人生とは何か、人は何の為に生きるのか。SFと言いつつ、このストーリィは地球人類の近未来の姿でもあります。 その意味で、この作品に新井さんがかなり力を入れたことが感じられます。「新井素子の今世紀最高傑作!」という帯文句の適否は別として。 |
「この橋をわたって」 ★★ | |
2022年01月
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作家生活40周年の作品集とのこと。 かつて話題となった「チグリスとユーフラテス」が、私として新井素子の初読。しかし、あまり好みに合わず、それっきりとなっていたのですが、40周年の集大成というべき作品ということだったので、読んでみようと思った次第。 SF小説なのか、ファンタジー小説なのか、どちらとも言い切れないなぁという印象。 敢えて言えば、優しさ、可愛らしさに満ちたSForファンタジー作品、そう言うのがぴったりのように感じます。 ・「橋を、架ける」:単純極まりない話なのですが、何世代にも亘り、どこか未来へ繋がっていく、という雰囲気ある作品。感触がいいですね。 ・「黒猫ナイトの冒険」:カラスと仔猫の攻防? でもその裏にある真実。優しさが良いなぁ。 ・「妾は、猫で御座います」:一言、笑えます。 ショートショートの中では、「お片づけロボット」がことに愉快で、好きです。 ・「碁盤事件」:なるほどなぁ。主婦の事故の裏にはそうした事情があったのか。いや、これ、童話的ですよね? ・「なごみちゃんの大晦日」:亡くなったおばあちゃんと、地元の神様、そして何やら妖しい世界? こうした世界観が新井素子作品の魅力なのだろうなぁ、と思うところ。 橋を、架ける/黒猫ナイトの冒険/妾は、猫で御座います/ <ショートショート>倍倍ケーキ/秘密基地/お片づけロボット/ 碁盤事件/なごみちゃんの大晦日 |