葵 遼太
作品のページ


1986年東京都生。漫画誌で構成や原案に携わる一方で、ウェブ上にて小説を発表。2020年初のオリジナル書き下ろし小説「処女のまま死ぬやつなんて、みんな世の中にやられちまうからな」にて作家デビュー。

  


       

「処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな」
 
NOBODY DIES A VIRGIN, LIFE FUCKS US ALL ★☆


処女のまま死ぬやつなんて、みんな世の中にやられちまうからな

2020年06月
新潮文庫

NEX
(630円+税)



2020/08/09



amazon.co.jp

高校三年のクラスの中で、すっかり浮き上がった存在となった4人による高校青春譚。

まず主人公の
佐藤晃。出席日数不足で留年し、2度目の3年生。
その理由は不行跡?と思われる処ですが、長く病院に入院していたという事情。ただし、本人ではなく余命僅かの恋人のため。
そして、親し気に主人公に話しかけてきた、つるむのが嫌いらしい
白波瀬巳緒。酷い吃音のため暗い雰囲気を纏っている御堂楓、美少女アニメ&ゲームオタクの和久井順平
この4人が、同盟を組んで何かやろうと声を上げ、選んだのがロックバンド。
そこから何が始まるのか?

題名、なんと長い、それにしても刺激的と思ったのですが、米ロックバンド“ニルヴァーナ”のヴォーカル兼ギタリストである
カート・コバーンの言葉とのこと(浅学の故、ニルヴァーナもカート・コバーンも、全く知りませんでした)。

クラスに馴染めなくても一人でいるのは辛い。吹き寄せられたように集まった4人ですが、何か一緒にやろうと気持ちを一つにすれば、やはり救われるというもの。
まして、恋人の砂羽に死なれ、生きる目的を見失っていた主人公にとっては。
現在ストーリィと並行して、砂羽と主人公が送る残された日々のストーリィも描かれます。

4人で過ごした日々から、新しい道も生まれる。哀切感を添えながら、やはり典型的な高校青春ストーリィ。

※なお、主人公と砂羽の共通の友人であり、バンド仲間だった
藤田有紀の存在がユニーク。ちょっと現実離れしているように感じますが。

プロローグ/1.なにかがはじまりそうなときには、はじめてみること/2.天国への階段/3.これは恥ずかしいことですか?/エピローグ

   


  

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