天祢 涼
(あまね・りょう)作品のページ


1978年生。「キョウカンカク」にて第43回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。

  


       

「希望が死んだ夜に ★★


希望が死んだ夜に

2017年09月
文芸春秋刊

(1700円+税)



2017/10/09



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14歳になったばかりの中学2年生=冬野ネガが、同級生である春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕されます。
逮捕されたネガはすんなり殺害を自供しますが、何故か動機については黙秘を貫く。
お互いに「希望、希(ねが)う、希む」という言葉から名前を付けられた2人の間に一体何があったのか。
教師も同級生たちも、2人の間に交友は全くなかったと証言していた。それなのに何故・・・、また2人の関りは?

捜査にあたる刑事は、神奈川県警刑事部捜査一課に配属されたばかりの警部補=
真壁巧。冬野ネガの境遇が貧困な母子家庭と知りますが、それは自分も同じだった。ネガには努力が足りなかったと見方は厳しい。
その真壁とコンビを組むことになったのは、刑事事件であるのに異例にも多摩警察署生活安全課少年係の巡査部長=
仲田蛍
桑島管理官は仲田の能力を評価しているが、同署の刑事連中は彼女を「変わり者」、やたら<想像>ばかりしたがると嘲笑的。

真壁と仲田による事件捜査の展開と並行して、冬野ネガと春日井のぞみのこれまでが、ネガの回想として語られていきます。
この事件の根底にあった真相は、真壁の思惑を全く超えたものだった・・・。

本作の紹介文に
“社会派青春ミステリ”とありましたが、本作の内容はまさにそのとおり。
冬野ネガと春日井のぞみの2人に何があったのか追求していく展開では、2人の過酷な現実があきらかになっていきます。
その一方で、生活保護申請への壁、役所の“水際作戦”、学校教師の無理解等々、貧困家庭の厳しい現実が描かれます。
ミステリとしても、2人の中学生の切ない青春劇としても、読み応えのある一冊。
最後は転々し過ぎと感じますが、お薦めです。

   


  

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