イーディス・ウォートン作品のページ


Edith Wharton 1826−1937年。米国の作家。ニューヨークの富裕な上流階級の家に生まれ、詩作を経たのち小説家に転じた。1885年13歳年上の銀行家エドワード・ウォートンと結婚、1913年に離婚。晩年にはイエール大学から名誉博士号を授与され、アメリカ芸術文学協会からはゴールド・メダルを与えられた。作品には三角関係、悲劇的な愛を扱ったものが多い。

 


 

●「エイジ・オブ・イノセンス」● ★☆   ピューリッツァー賞
 原題:"THE OF INNOCENCE"     訳:大社淑子




1920年発表

1993年9月
新潮文庫刊

絶版

 

2004/10/05

1870年代、ニューヨークの上流階級を舞台にした三角関係の恋愛を描いた長篇小説。
ピューリッツァー賞を受賞したウォートンの代表作とのことですが、率直に言ってシンドかった。途中で何度放り出したくなったことか。理由は、本書が私の苦手なタイプの小説であったこと。第一には心理小説であったこと、第二には三角関係というストーリィであったこと。

本書の主人公はニューランド・アーチャー、同じ上流階級の令嬢メイ・ウエランドと婚約中です。そのNY上流社会に降って湧いたように登場したのが、イギリス貴族である夫と別居してNYに戻ってきた伯爵夫人エレン・オレンスカ。エレンがメイの親戚にあたることから、ニューランドがエレンの相談にのる羽目となりますが、それをきっかけにニューランドとエレンの間には恋愛感情が芽生えます。しかし、その一方でニューランドとメイの結婚は繰り上げて挙式がなされ、ニューランドはNY上流階級のしがらみにますます囚われてしまう、というのがストーリィの大筋。
ストーリィの中心はニューランド、エレン、メイという三角関係にあるのは勿論ですが、その背景となるNY上流社会を描くことこそが本作品の主眼と言えます。副題として「汚れなき情事」と訳されていますが、原題の“INNICECCE” はむしろ“奇麗事”とでも訳すべきでしょう。人間の真情より体裁を第一する、自己満足的なNY上流社会が、そこに描き出されているからです。それを体現しているのが、ニューランド夫人であるメイです。
本作品は当時のNY上流社会が舞台であってこそのストーリィ。本書が絶版となったのもそれ故のことではないかと、肯ける気がします。

     


 

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