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Emma Torzs モンタナ大学ミズーラ校で博士号を取得。様々なSF雑誌に短篇を掲載後、2023年「血の魔術書と姉妹たち」にて長篇デビュー。同書はニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ「2023年ベストSF&ファンタジー」および“100 Notable Books of 2023” の一冊に選出された。 |
「血の魔術書と姉妹たち」 ★☆ 原題:"Ink Blood Sister Scribe" 訳:田辺千幸 |
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2024年08月
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バーモント州の片田舎で代々魔術書を守ってきたカロテイ家の姉妹が、魔術書を巡る陰謀に巻き込まれる。 それまで離れ離れに暮らしていた姉妹は再び手を携え、やはり魔術書に絡む青年と力を合わせ、陰謀に立ち向かっていく、というファンタジー。 期待して読み始めたのですが、分かりにくい、という印象。 まず魔術書がどういうものであるのか、それが中々分からない。 私自身の理解力不足の所為なのかもしれませんが、ようやく魔術書がどういうものか分かった時にはもう終盤。 そこから敵との対決場面に至るのですが、そこでも一転二転、何やら振り回された感じ。 面白いといえば面白いのかもしれませんが、面白く感じられるようになるまで時間がかかり過ぎ、と感じます。 本作で重要な道具となる魔術書、そこには血によって呪文が書き込まれる必要があり、その呪文を読み上げられることによって魔術が起動する。 一方、魔術の影響を受ける人間と受けない人間がおり、また呪文を書きこめる人間と魔術を読み聞くことができる人間とは別の存在という。 ストーリーは、魔術書の影響を受けないため実家を離れ世界中を転々としてきたカロテイ家の姉エスターと、魔術書を読み聞くことができるため父親の死後一人で実家が所蔵する魔術書を守り続けてきた妹ジョアンナ、そしてロンドンで魔術書のライブラリを維持する伯父リチャードの指示を受け、呪文を書き続けてきた青年ニコラス、それぞれの現在から語られていきます。 その3人がひとつ場所に集まった処から、魔術書を我欲のために利用する者たちとの究極の闘いが始まります。 ただ、もうひとつ大きなスケールの闘いにはならなかった処が残念に感じられた、というのが読後感。 第一部 鏡の魔術/第二部 書士/第三部 血統 |