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Susan Sontag 1933年米国ニューヨーク市生。20世紀アメリカを代表する批評家・小説家。63年「夢の賜物」にて作家デビュー。2000年「イン・アメリカ」にて全米図書賞を受賞。2004年死去。 |
「イン・アメリカ」 ★★ 全米図書賞 |
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2016年05月
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長大なストーリィ。 著者の「序」によると、ポーランドで最も高名だった女優ヘレナ・モジェイェフスカが1876年、伯爵の夫と息子、数人の友人たちとともにアメリカに渡り、ヘレナ・モジェスカの名前で舞台女優として大成功を収めたという史実に触発されて描いたフィクションとのこと。 1頁の文字ぎっしり、そのうえ 480頁という大長編。普段1日か2日かで読み終えられる国内小説ばかり読んでいるとこの長さは脅威です。それでも手を出したのは、本書の主人公であるマリーナ・ザウェニジョフスキ(マリナ・ザレンスカ)がシェイクスピア劇女優として成功したという紹介文に惹かれたため。 正直な処、余りの大部さに適宜読み飛ばしながら読み進んだ、という次第です。 この物語を描くのにこれ程の頁数が必要だったのかと当初思っていたものの、読んでみればそう無駄な部分があると感じる処はありません。 ストーリィはアメリカに渡ろうとする処から描き始められ、アメリカのアナハイムでの農場暮し、サンフランシスコでオーディションを受けて舞台に戻ってからは、一気に名女優という評判を勝ち取り、舞台女優として成功するという展開。 途中、夫とは別の男性との恋愛模様も描かれます。 一人の女優が異国の地で成功するまでの足跡を語る一方で、異国に移民するとはどういうことか、を描いた物語でもあります。 国を渡る、女優業といっても19世紀末と現代では何もかも異なっていたことでしょう。 簡単には語れない物語を描いたからこそ、本書は大長編小説になった、ということなのかもしれません。 |