リチャード・ブリンズリー・シェリダン作品のページ


Richard Brinsley Sheridan  1751〜1816 イギリスの劇作家・政治家。アアイルランドのダブリン生、オックスフォード大学で学ぶ。75年に喜劇「恋敵」、笑劇「聖パトリックの日」、喜歌劇「付添婦人」の3作がロンドンのコベント・ガーデンで上演され、大成功をおさめる。代表作は「悪口学校」(1777)、「批評家」(1779)。80年下院議員となり、82年外務次官、83年大蔵大臣、1806年海軍財務官および枢密顧問官となる。

 


  

●「悪口学校」●  ★★★  
 
原題:THE SCHOOL FOR SCANDAL”

 

1777年発表


1981年10月
岩波文庫刊

 

1981/11/15
1983/07/10
1988/04/22

2001/04/01

社会風刺劇の傑作。私の愛読書のひとつです。
邦題は「悪口」とありますが、scandal ですから「醜聞」とか「中傷」という方が実際には正確。
有閑階級の人々が、集まっては他人の噂話に熱中するというのですから、標的にされた人は堪りません。事実かどうかなどお構いなく、噂話が広められてしまいます。なにしろ、噂話の対象となった2人が実は会った事もないということで、称賛を得る、というのですから。
ストーリィは、その悪口学校の面々とそれに巻き込まれて翻弄される常識的な人達との対比に、ロマンスと3つの横恋慕が絡みます。
中心になるのは、ジョーゼフチャールズサーフィス兄弟。兄の方は、道徳的人物として評判をとっていますが、かなり腹黒い人物。一方、弟の方は浪費家で破産間近、でも気持ちは優しいという設定。それに、この兄弟の後見人であるサー・ピーターが、独身主義を放棄して若い妻を得たことから悩み絶えず、というストーリィが加わります。
ストーリィ展開のテンポも軽快で、風刺劇という魅力に、ロマンスもちゃんと織り込まれています。そして、何より登場人物ひとりひとりが個性充分。繰り返し読んでも少しも飽きない、という魅力ある戯曲です。

 


   

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