2002年発表
2005年2月
新潮文庫刊
(819円+税)
2005/03/13
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高校最後の卒業記念ダンスパーティ、憧れの女の子エリザベス・ウェアリングとデートできて舞い上がっていたヘンリー・チェイスは、その帰りに彼女から住んでいる世界が違うと言われ、純真な少年の心をかなぐり捨てた。
その後、他人を騙し、利用し、蹴落としてきたヘンリーは、今や“暗殺者”と異名をとる企業乗っ取りの実力者。その成功を誇ってエリザベスを見下してやろうと故郷に戻ったヘンリーは、高校卒業の1年後に彼女が死んだと聞いて愕然とする。エリザベスの冷たい言葉は、すべてヘンリーを発奮させるためのものだった。
ヘンリーはホテルで絶望にとらわれます。そこへ救世主のように現れたのが、メイドのソフィー・ライリー。
ソフィーは、自分を救いたかったら、これまでしてきたとくにひどいことをリストに書きだして、すべてにきっちりと片をつければいいのよ、と言う。その翌日からヘンリーは、ソフィーに付き添われ贖罪の旅を繰り広げることになる、というストーリィ。
過去の悪行を贖罪して回る、この卓越した着想がお見事!
“暗殺者”=ヘンリーは、どこにも隙のない、カリスマ的なエリート。それなのに、贖罪に回り始めたヘンリーはどこか気が弱く、何度も女性にぶちのめされたりと、とても格好悪い。
しかし、そんなヘンリーにどこか可愛らしさ、愛嬌が感じられるのですから、本ストーリィは面白い。
ソフィーとヘンリー、衝突しあったり、労わりあったりと、2人の珍道中は読み応えある楽しいものです。しかし、心理学専攻の大学院生と名乗るソフィーにも何か秘密があるらしい、それは何なのか。
ユーモアとサスペンスが程よくブレンドされた、気分良く読める娯楽小説。本書は既に映画化が決定しているとのことですが、如何にも映画向きなストーリィです。
それにしても、最後の逆転には流石に唖然。笑ってしまう他ありません。
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