ジュリー・サラモン作品のページ


Julie Salamon 米国オハイオ州シーマン育ち。ウォール・ストリート・ジャーナルの記者および映画評論家として16年間活躍。夫、二人の子供と共にニューヨーク居住。

   


  

●「クリスマスの木」● ★★★
 
原題:“The Christmas Tree”      画:ジル・ウェーバー 
 (文庫改題:クリスマスツリー)


クリスマスの木画像

1996年11月
新潮社刊
(1359円+税)

2000年12月
新潮文庫化

 
1996/12/28

  
amazon.co.jp

クリスマス・ストーリィの一冊。
今日一日の通勤の往復時間で読み終わってしまう、ごく薄い本ですが、その内容に、懐かしさとともに実り多いものを感じます。
ストーリイは、毎年ニューヨークのロックフェラー・センターに飾るクリスマス・ツリーを探し歩く男と、そのクリスマス・ツリーにふさわしい木に深い関わりをもっている修道女との、交流の話。

彼らの心の通い合いは、ある木が中心となっているのですが、その心の動きからいうと、スピリ「ハイジの、現代かつ成人向け版と言えるでしょう。ハイジがお祖父さんの家の前できくモミの音、そんなふうに木と語り合ってきた二人だから生まれた友情と思います。
その木のある修道院は、現代社会から隔絶したような、こんなところがあると知るだけで幸せに感じられるような場所。そのなかに織り込まれている画がなんとも可愛いらしく、また美しく、それだけでも嬉しくなってきます。
そして、シスターの言葉、その父親が語ったという言葉、すてきな言葉です。それをここで書いてしまうと、これから読む人の喜びを奪ってしまうので、省略することにします。

私にとって、この一冊を読めただけで、すてきなクリスマスとなりました。

   


    

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