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Sally Rooney 1991年生、アイルランドの作家。トリニティ・カレッジ・ダブリンで英文学を学び、その後同大学院で米文学の修士号を取得。2017年デビュー長編「カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ」にてサンデー・タイムズ文学賞新人賞を受賞。 |
「カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ」 ★★ 原題:"Conversations with friends" 訳:山崎まどか |
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2021年09月
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デビュー作にして英サンデー・タイムズの「21世紀の傑作 100冊」に選ばれ、ミレジアム世代から絶大な支持を受けた新世代作家による長編小説、とのこと。 主人公はダブリンの大学生で、作家志望のフランシス・21歳。 そして主要登場人物はというと、かつて同性の恋人で今は親友のボビー、2人のパフォーマンスに声を掛けて来たジャーナリストのメリッサ、その夫であり俳優のニック。 ストーリィの殆どは、フランシスがニックに惹かれて、不倫関係であることはさておき、2人がセックス(あるいは恋)を重ね続けるというもの。 不倫関係なんだから不道徳極まる、と言われればそのとおりなのですが、それでも止まらないというのが2人の状況。 その一方で、フランシスとボビーの関係が少々ミステリアスで、かつて恋人で今は友人という、そんな簡単なものなのかと思わされます。 本作の題名は、このフランシスとボビーについてのものと理解して誤りはないでしょう。 不倫関係が中心ストーリィになっていても不快感を持たないで済むのは、フランシスがいろいろに揺れる心情を素直に語り出しているからでしょう。 ニックに対する自分の気持ちは何なのか、一方でニックは自分をどう思っているのか、そしてニックとメリッサの夫婦関係は、という具合。 ボビーという女性像がなかなか刺激的。 そんなボビーとフランシスの関係、やりとり(会話)が、やはり本作の読み処ではないかと思う次第です。 |