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「文学少女対数学少女」 ★☆ "Le Dernier Probleme de Fermat" 訳:稲村文吾 |
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2020年12月
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謎解き小説を書くのが好きな文学少女=陸秋槎(りく・しゅうさ) と、天才的な数学少女=韓采蘆(かん・さいろ) 。 高校2年生である2人が本格ミステリに挑む青春連作4篇。 題名に惹かれ、評判が高そうな処にも関心を惹かれたのですが、今一つ私に合わず、という感じ。 2人の間で様々な思考が巡らされるのですが、理屈が多くて面倒くさい、と感じてしまったのが致命傷だったかもしれません。 もっとも本格ミステリというなら、理屈っぽいもの。 学生時代にはヴァン・ダインとかエラリー・クイーンとか本格推理ものを数多く読んだものですが、考えてみれば最近読むミステリと言えば、本格推理というより人間ドラマを主体にしたものが多かったなぁと思い当たった次第。 ただ本書、本格推理といっても、趣向が風変わり。 陸秋槎たちが書いた作中作ミステリに、作中で起きたミステリの謎解きが併存するのですから。 そのため、作中作ミステリにおいては、本格推理ものとして欠陥がないかどうか、作中作の背後には何があるのか、といった別の謎解きが主眼になっているのですから。 したがって、殺人事件が起こり、最後にスパッと真犯人が明らかになる、という展開ではないのですから。 数学的発想をもって謎解きを考えると、どういったものになるのか。そうした点に興味を持たれる方なら本書、楽しめるのかもしれません。 連続体仮説/フェルマー最後の事件/不動点定理/グランディ級数 |