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●「聖者は口を閉ざす」● ★ |
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2008/04/19
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TVドラマの脚本家として成功したレイは、その職を捨て、自分が生まれ育った団地に戻り、自分の卒業した学校で創作講座の講師として勤め始めます。 ところがその1ヵ月後、何者かによってレイは頭部にひどい殴打を受け、瀕死の重傷を負って病院に担ぎ込まれる。 幼馴染で今や女性刑事となっていたネリーズは、再会したレイに犯人の名を語らせようとするが、彼は応じようとしない。いったいそれは何故なのか。 レイを主人公とし、レイが勤め始めた1月から始まるストーリィと、ネリーズを主人公として事件の起きた2月から始まる捜査のストーリィが交互に語られていきつつ真相に迫る、という構成の重厚な長篇小説。 題名からして感動的な人間ドラマを予想したのですが、サスペンス小説ですし、描かれる舞台は相当に悲惨な状況、というべき社会の底辺という暮し。 いかにも米国社会の底辺らしい犯罪だらけの、子供たちにとっては悲惨としか言いようのない現実が、これでもかというぐらい連綿と描かれていきます。 |