ウェンディー・オルー作品のページ


Wendy Orr
 1953年カナダ・エドモントン生。子供時代は父親の勤務先の都合で、カナダ、フランス、アメリカ等を転々とする。カナダの高校を卒業後、オーストラリアに移住、91年より執筆活動に専念。

 


 

●「秘密の島のニム」● ★★
 
原題:"Nim's Island"      訳:田中亜希子

  

 
1999年発表

2008年07月
あすなろ書房
(1200円+税)

 

2008/10/05

 

amazon.co.jp

映画「幸せの1ページ」が面白かったので、原作である本書も読んでみたいと思った次第。
一言で紹介すると、無人島への漂流物語と、動物と仲間付き合いするターザン的な楽しさを合わせた、児童向けの少女冒険譚。

誰も知らない南洋の火山島で、海洋生物学者である父親と2人だけで暮らす少女=ニム・ルソーが主人公。
彼女の大切な遊び仲間は、アシカのセルキーウミイグアナのフレッド、さらに海亀のチカ
そんなニムを置いて父親ジャックは、研究のため3日間の予定で海に出ます。ところが突然の嵐に遭って漂流、島に戻れなくなります。
勝ち気なニムも、やがて怪我をしたりして心細くなる。そんなニムを救うため2人が暮らす島に向かおうとするのが、偶然メールのやり取りをするようになった、ニムも大ファンである冒険小説の作者アレックス・ローバー

ほぼ映画どおりのストーリィ。見た順序が映画 → 原作となったためそうした表現になりましたけれど、正しく言うならば、原作に忠実な映画化であると原作を読んで判った、ということ。
ただ、原作は児童向け作品であるため割と簡単です。ニムの大冒険+アレックス=アレキサンドラの少しの冒険+ジャックのかけら程の冒険、という構成。
それに対して映画は大人の鑑賞にも堪えるように作られているので、ストーリィももっと膨らませており、楽しさ・笑いもスケールアップされています。ニムだけでなく、アレキサンドラ、ジャックの冒険にもそれなりに時間を割かれています。でもその楽しさの素は、あくまで原作の魅力にあることは疑いようもありません。

私が子供の頃最初に読んだ冒険物語といえば、ヴェルヌ「十五少年漂流記」
父親が設置した発電装置、パソコン等があり、動物の友達がいるとはいっても、絶海の孤島で一人きりとなれば、それはやはり漂流物語に近い。
「十五少年漂流記」を久々に思い出させてくれる、現代的な少女と女性作家による冒険物語。
冒険物語分野への女性の進出も目覚しいものがある、のかも。

※映画化 → 「幸せの1ページ

     


   

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