バーナード・マラマッド作品のページ


Bernard Malamud  1914−1986年。ロシア系ユダヤ人移民である両親の元に米国で生まれる。36年ニューヨーク市立大学シティカレッジにて文学士号を取得。49年からオレゴン州立大学にて教官。52年「ザ・ナチュラル」にて注目され、67年「フィクサー」にて全米図書賞ならびにピューリッツァー賞フィクション部門を受賞。

 


                

「レンブラントの帽子」 ★★
 
原題:"Rembrandt's Hat"    訳:小島信夫・浜本武雄・井上謙治




1973年発表

2010年05月
夏葉社刊

(1600円+税)


2014/08/20


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私が高校〜大学生だった頃、米国ユダヤ系作家が流行っていました。筆頭はソール・ベローだったでしょうか。他にフィリップ・ロス等々。マラマッドもその一人でしたが、ソール・ベローなどに比べると目立たない存在であったかと思います。
しかし、ユダヤ系作家たちの中で私が一番好きだったのが、マラマッドでした。
今こうして40年ぶりに読むと、そうそう、あの頃のユダヤ系作家の作品の特徴は内省的なところにあったなぁ、と懐かしく思い出します。

表題作の
「レンブラントの帽子」は、美術大学で美術史を担当しているアーキンと彫刻家ルービンとの間に生じた、行き違いによる諍いの様子を描いたストーリィ。
行き違いというより、ボタンの掛け違いと言った方が良いのかもしれません。そうした事態が生じたことによって、自分という人間への自信の欠如、不安というものが生まれて中々収まらない。
他の2篇、
「引き出しの中の人間」「我が子に、殺される」にも共通する内容です。
そうした内容が、高校〜大学生だった頃の心境に合っていたんだろうなぁと今にして思います。

レンブラントの帽子/引出しの中の人間/わが子に、殺される

         

   <マラマッド既読作品>
       1976.11 「アシスタント」   (新潮文庫)
       1976.11 「マラマッド短篇集」 (新潮文庫)
       1977.01 「もうひとつの生活」 (新潮社)
       1978.11 「魔法の樽」     (講談社現代新書)

  


      

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