|
|
1.あたしと魔女の扉 |
●「あたしと魔女の扉」● ★★ アンドレ・ノートン賞 |
|
2008年10月
2008/11/28
|
オーストラリアのシドニーと米国ニューヨークをまたに架け、魔法を鍵として青春、友情、家族愛を描き出した冒険物語、“モダン・ファンタジー三部作”の第1巻。
邪悪な魔女である祖母=エズメラルダから逃れるため、主人公である女の子=リーズンは母親サラフィナと共に世界中を転々として逃げ回っていた。 “魔法”というと、良いか悪いか、そのどちらかでしかないというのが大方のストーリィですが、本物語において魔法は、役立つものであると同時にひどく厄介なものとされています。それが本物語のユニークなところ。 友情、家族愛、リーズンらの抱える魔法という厄介なもの、を題材にしたファンタジー冒険物語。 |
●「あたしをとらえた光」● ★☆ |
|
2008年12月 |
魔法ファンタジー三部作の第2巻。 第一部の最後で、リーズンの持つ魔法の能力を狙う実の祖父=ジェイソン・ブレイクから何とか逃れ、リーズンはJ・Tと共にシドニーに戻ってきます。 だからといって、少しも安心はできない。シドニーとNYを繋ぐドアがドタンバタンと大きな音を出したり、奇怪に変形したり。ついにそのドアから得体の知れない物体が現れ、トム、J・T、リーズンの3人に襲いかかります。 ジェイソン・ブレイクとは別の存在と思われるそのゴーレム、そしてまた扉の向こう=NY側にいた強大な魔法の力をもつ謎の老人は、いったい何者なのか。 謎は解き明かされるどころか、ますます混迷を深める、というのがこの第2巻。 ストーリィの意味は、第3巻に至らないと判らないのでしょう。 |
●「あたしのなかの魔法」● ★★ |
|
2009年02月
2009/03/05
|
魔法ファンタジー三部作の第3巻、結末篇。 魔法を使い過ぎると命を縮める、全く魔法を使わないでいると正気を失う、少しずつ魔法を使っても所詮長くは生きられない。 というのが、このファンタジー三部作における“魔法”の位置づけ。 全く厄介なものです。本シリーズにおける魔法は宿痾(しゅくあ)といった方がいいようなもの。その点が、他の一般的な魔法ファンタジーと本書の大きく異なるところ。 第2巻の最後でリーズンに与えられた強大な魔法の力は、本巻でリーズンの姿を変貌させていく力となって現れます。 魔法が思わぬ力を与えてくれるものなら、それは果てしない欲望へと繋がりかねないもの。その結果は、ジェイソン・ブレイクとエズメラルダ側の3人、エズメラルダとサラフィナ母娘というように、家族の崩壊となって現れます。 |