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「トーキョー・キル」 ★☆ 原題:"Tokyo kill" 訳:白石 朗 |
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2022年11月
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日本通の著者による、日本通の探偵を主人公にした“私立探偵ジム・ブローディ”シリーズ第2弾。 最近は海外ミステリから遠ざかっていたのですが、外国人から見た日本観が面白いという新聞書評を読んで興味を惹かれ、読んだ次第です。 なお、シリーズ第1作に続き、この第2作もアメリカ私立探偵作家クラブ賞<シェイマス賞>最優秀長篇賞最終候補作との由。 主人公のジム・ブローディは33歳。自宅のあるサンフランシスコでは自ら起業して古美術商。東京では昨年死去した父親が起業した<ブローディ・セキュリティ社>(私立探偵業務&個人の身辺警護業務)を引継いで社長という、二足の草鞋。 妻は亡くなっており、一人娘のジェニー・6歳を連れて来日したところ、三浦晃という老人から、命を狙われている、ついては身辺警護をしてもらいたいという依頼を受けます。 そこには、アジア太平洋戦争時、所属した日本軍部隊が中国人に対して残虐な扱いを繰り返した事実が理由にあるらしい。 なお、ブローディの相棒となるのは、渋谷警察署の若い女性刑事=星野理恵巡査。 ところが、三浦晃本人ではなく、その息子=耀司が惨殺死体となって発見されるという事件が起こります。 自ら調査を始めたブローディ、やがてジェニーと共に命を狙われるばかりか、抜き差しならぬ状況にいつしか陥っていることに気づき・・・・。 面白味は、舞台となる日本の描き方にあります。 著者、やけに東京に詳しい処がある一方で、微妙にズレている処があります。まるで、パラレルワールドの東京が舞台になっている、という感じです。そして度々の格闘シーンも・・・。 事件の真相には驚かされましたが、作品自体については何とも言えない読後感、です。 第1日:三合会/第2日:戦争の谺/第3日:手錠をかけられて/第4日:包囲/第5日:追跡/第6日:<黒い風>/第7日:"一度きり"のおわり/第8日:新たな悪魔/第9日:二倍の困難/第10日:快楽殺人者/第11日・第12日:ゲリラたちとカバの群れ/第13日:チョークポイント/エピローグ |