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●「アルジャーノンに花束を」● ★★★ |
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1989年4月 1999年10月 |
深い感動がつきない作品。 通勤の電車内で読んでいて、いつも駅の通過を気付かず慌てて降りることを繰り返す毎日でした。その一方で、ストーリィを辿るのが辛い気持ちにもなった作品です。 ストーリイの紹介は、カバー裏の紹介文を転記することで充分です。 「32歳になっても、幼児の知能しかないチャーリイ・ゴードンの人生は、罵詈雑言と嘲笑に満ちていた。昼間はパン屋でこき使われ、夜は精薄者センターで頭の痛くなる勉強の日々。それでも、人の良いチャーリイは少しも挫けず、陽気に生きていた。そんなある日、彼に夢のような話が舞い込んだ。大学の偉い先生が、頭をよくしてくれるというのだ。願ってもないこの申し出に飛びついたチャーリイを待っていた連日の過酷な検査。検査の競争相手は、アルジャーノンと呼ばれる白ネズミだ。脳外科手術で超知能をもつようになったアルジャーノンに、チャーリイは奇妙な親近感を抱きはじめる。やがて、脳外科手術を受けたチャーリイに新しい世界が開かれた。 だが、その世界は、何も知らなかった以前の状態より決してすばらしいとは言えなかった。今や超知能をもつ天才に変貌したチャーリイにも解決しがたいさまざまな問題が待ち受けていたのだ。友情と愛情、悲しみと憎しみ、性、科学とヒューマニズム、人生の哀歓を、繊細な感性で描き出す感動の1966年ネビュラ賞長篇部門受賞作。」 ちょっと違うと思う部分もあるし、売らんかなの大袈裟な文言もありますが、大筋としては上記紹介分のとおりです。 チャーリィの生活はそれなりに安穏なものでしたが、彼はもっと勉強して利口になりたいと思っていた。手術によってチャーリィは天才的な頭脳の持ち主となりますが、その結果チャーリィが得たものは何だったのか。 ストーリイは、“経過報告”としてチャーリイ自身の手記の形をとっています。精薄から常人へ、そして・・・。 最後を飾るチャーリィの手紙は、なんと素晴らしいものでしょうか。感動のあまり、涙が溢れんばかりになります。 本書を読むと、何が幸せか、改めて考えざるを得ません。 この作品を読みつつ、小杉健治「絆」を思い浮かべます。 |