ポリー・ホーヴァート作品のページ


Polly Horvath  明るいブラック・ユーモアの作風で人気ある児童作家。「The Trolls」が全米図書賞の最終候補となり、「Everything on a Waffle」にてニューベリー賞のオナー賞を受賞。現在カナダのブリティッシュ・コロンビア在住。

 


 

●「みんなワッフルにのせて」●  ★☆  ニューベリー賞オナー賞
 原題:"The Everything on a Waffle"      訳:代田亜香子




2001年発表

2003年3月
白水社刊
(1500円+税)

 

2003/08/09

両親が海で行方不明になった少女、プリムローズ・スクワープ、11歳が主人公。
周囲の皆は、両親が死んでしまったことを彼女に認めさせようとしますが、プリムローズは決して信じず、いつか両親が帰ってくるものと信じています。そんな彼女の健気なストーリィ。

と言っても、本書は決して感動的なストーリィではありません。プリムローズは交通事故で足の小指を切断したり、海で溺死しそうになり薬指の先っぽを失ったりしますが、ブラックユーモア、それとも現実の厳しさと言うべきか。
むしろ、個性的な登場人物たちを見る限り、コメディと言うべきでしょう。たった一人両親の生存を確信する故に周囲と相容れないプリムローズは、その結果周囲の大人たちを観察し、人生勉強をするに至ったと言えるでしょう。
いつも防虫剤が臭う老婦人パーフィディ、偽善的で自己都合優先の女性カウンセラー・ハニーカット、冒険的な商売を好むジャック叔父、どの料理もワッフルにのせて出すレストランの女性オーナーシェフ・バウザー、里親となるバートエヴィ夫婦と、人それぞれ、人生様々。
帯には“スラプスティック・コメディー”とあり、エスプリ、風刺の利いたコメディと言えるでしょう。また、各章の最後にレシピが付いているのが楽しい。

     


 

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