カール・ハイアセン作品のページ


Carl Hiaasen  米国フロリダ州生、フロリダ大学卒。マイアミ・ヘラルド社の記者としてフロリダの犯罪や汚職を報道。1986年「殺意のシーズン」にて作家デビュー。

 


                

「復讐はお好き?」 ★★
 
原題:"SKINNY DIP"    訳:田村義進




2004年発表

2007年06月
文春文庫刊

(886円+税)

 


2015/06/21

 


amazon.co.jp

「こんなに痛快な小説にはめったにお目にかかれません」という出版社の紹介文に期待大だったのですが、それ程までではなかったなぁというのが正直な感想。

夫から誘われた結婚記念の豪華船クルーズ、まさかその夜に夫から海へ投げ落とされるとは!
必死で泳ぎ、浮かんでいた袋にかじりついて漸く島まで流れ着いた
ジョーイ30歳は、その島で一人暮らしをしていた元検察局捜査官のミック53歳に助け上げられます。
意識を取り戻したジョーイは、警察に通報しても証拠がない、口の上手い夫の
チャズは女性陪審員を誑し込んで言い抜けてしまうに違いないと、自ら復讐をしようと決意します。
しかし判らないのは、ジョーイを殺害する理由。金目当ての筈はなく、一体何故なのか。

これが日本の小説だったら巧妙な計画を立てて次々と相手を窮地に追い込んでいきそうなものですが、本書はその点、のんびりしたもの。チャズの留守を見計らって自分の家に忍び込んだりと、結構場当たり的です。
アメリカ小説らしく頁数が多いので、展開がのんびりしてしまうのか、と思わずにいられません。
それでも何とか次第に復讐劇らしい展開を見せていくのですが、それにしても感じるのは、チャズのクズ男ぶり。どんなことがあってもまずはセックスすることしか頭にないのですから。脳みその代わりに性欲が詰まっていてえげつなさばかりが目立つ男、というところでしょうか。
何しろチャズの背後にいる悪徳農園主の
レッドが差し向けた用心棒のトゥールさえ呆れ果てる程なのですから。

復讐劇以上に、呆れる他ないチャズのクズ男ぶりが本書の面白さといって過言ではないと思います。

          


      

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