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Emilia Hart オーストラリア・シドニー生。ニュー・サウス・ウェールズ大学にて英文学と法律を学んだ後、シドニーと英国ロンドンで弁護士として働く。2023年「ウェイワードの魔女たち」にて作家デビュー。ニューヨーク・タイムズのベストセラー入り、同年 Goodreads Choice Awardsの最優秀デビュー小説賞と最優秀歴史小説賞をダブル受賞。2024年現在ロンドン在住。 |
「ウェイワードの魔女たち」 ★★☆ 原題:"Weyward" 訳:府川由美恵 |
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2024年06月
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三つの時代における<ウェイワード>の女たちの圧巻の闘いを描く長篇。予想を超えた面白さでした。 1619年、アルサ(21歳)は魔女裁判にかけられていた。 1942年、ヴァイオレット(16歳)は、父親の絶対的な支配下に置かれていた。 2019年、ケイトはボーイフレンドから精神的、肉体的両面にわたる監禁を受けていた。 アルサ、ヴァイオレット、ケイト、三人の女たちの闘いが、交互に並行して語られて行きます。 その闘いは、女たちをまるで家畜のように、道具のように、玩具のように扱って当然と考えている傲慢な男たちへの、魂からの抵抗という点で共通します。 彼女たちを勇気づけたのは、自分はウェイワードの女である、という一念。 そして、アルサが自分の後に続く女たちの為にと残した冊子が、ヴァイオレットを助け、そしてアルサとヴァイオレットの祈りがケイトを救うことに至ります。 三人の闘いの舞台となるのは、アルサが母親と暮らしていた<ウェイワード・コテージ>、そこは後にヴァイオレットの住処となり、ケイトがボーイフレンドの元から逃げ出した時の隠れ場所となります。 ※ヴァイオレットはケイトの大伯母(祖父の姉)という関係。 しかし、ウェイワードの女たちとは一体、何なのか。 それが分かるのは、終盤になってからです。 ケイトが追い詰められ、絶体絶命の危機に陥った時、ケイトを助けたものは・・・・すべてはそこで明らかになります。 アルサの願いが、子孫となる女たちを救う、その点が圧巻となる物語です。お薦め。 第一部/第二部/第三部 |