エリザベス・ハンド作品のページ


Elizabeth Hand  1957年米国カリフォルニア州生。カトリック大学で創作を学んだ後、スミスソニアン国立航空宇宙博物館に勤務しながら、同大学で文化人類学を学ぶ。98年作家デビュー。96年「過ぎにし夏、マーズ・ヒルで」にてネビュラ賞ノヴェラ部門・世界幻想文学大賞中編部門、2002年“Cliopatra Brimstone”にて国際ホラーギルド賞、03年“Pavane for a Prince of the Air”にて再度国際ホラーギルド賞、04年短編集“Bibliomancy”にて世界幻想文学大賞短編集部門、07年「エコー」にてネビュラ賞短編部門、08年“Generation Loss”にてシャーリイ・ジャクスン賞、「イリリア」にて世界幻想文学大賞中編部門、11年「マコーリーのベレロフォンの初飛行」にて世界幻想文学大賞中編部門を受賞。

 


                          

「過ぎにし夏、マーズ・ヒルで−エリザベス・ハンド傑作選− ★★☆
 原題:"Last Summer at Mars Hill and Other Stories"
   訳:市田泉


過ぎにし夏、マーズ・ヒルで

1994-2010年発表

2021年04月
東京創元社

(2300円+税)



2021/04/30



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ネビュラ賞、世界幻想文学大賞等をそれぞれ受賞の4作をまとめた“傑作選”。
なんとまぁ贅沢な一冊か、と惹かれた次第です。

SF小説か?というと舞台設定等々、読んでいる最中に特にそう感じるところはありません。
むしろ強く感じるのは、ストーリィの抒情性。その景色の中にふとSF要素、幻想的なものが姿を見せます。
大切な人との別れ、胸の内ある忘れ難い想いが、そうした情景を背景に尚のこと切なく、美しく目の前に広がるという風です。

「過ぎにし夏、マーズ・ヒルで」ムーニーの母親は末期乳がん、ジェイソンの父親はHIV陽性。マーズ・ヒルで彼らはどう最後の日々を過ごすのか。
「イリリア」:シェイクスピア時代まで遡る役者の家系であるティアニー一族。しかし、今その才能を引き継いでいるのはマディローガン、従姉弟同士の二人のみ。2人の辿る人生が、シェイクスピア「十二夜」に絡めて描かれます。
※題名のイリリアとは、「十二夜」の舞台となる架空の国。
「エコー」:掌篇。でも抒情性は一番高いかも。
「マコーリーのベレロフォンの初飛行」乳がんで余命僅かの元上司マギーのため、航空宇宙博物館当時の仲間3人が計画したことは・・・

過ぎにし夏、マーズ・ヒルで/イリリア/エコー/マコーリーのベレロフォンの初飛行

               


    

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