カルロ・ゴルドーニ作品のページ


Carlo Goldoni 1707-93 18世紀ヴェネチアの劇作家。
1731年にパードヴァ大学で法学士の学位をとった後ヴェネチアで弁護士として開業したが、演劇関係の仕事に熱中して34年頃には劇作家として認められるようになった。39年ジェーノヴァ駐在のヴェネチア領事となったが芝居への情熱を捨てきれず辞職。イタリアにおいては、脚本に基づいて芝居を行うという演劇改良を行った。62年フランス宮廷に招かれパリへ移ったが、フランス革命後パリにて貧窮のうちに死去。

 


  

●「抜目のない未亡人」● ★★
 
原題:"VEDOVA SCALTRA"     訳:平川祐弘




1748年発表

1995年8月
岩波文庫刊

(505円+税)

 


2004/12/05

1748年に初演されたイタリア喜劇。9年ぶりの再読です。
題名からすると、こすっからい未亡人の話のように取られかねませんが、そんなことはない。

裕福な商人であった年寄りの夫が亡くなり、未亡人となったロザーウラが本喜劇の主人公。まだ若く美しく、しかも聡明なロザーウラの元には、求婚者たちが足繁く通います。
イギリス人のルネビーフ閣下、フランス人のムシュー・ル・ブロー、スペイン貴族のドン・アルバロ・デ・カスチリャ、イタリア貴族のボスコ・ネーロ伯爵、という面々。
要は、4国の求婚者を並べ、求愛ぶり、ロザーウラの駆け引きにおける国民性を比較し、笑って楽しもうという喜劇なのです。
ヴェネチア作家の手による劇ですから、地元イタリア贔屓なのは仕方ないこととして、イギリス、フランス、スペインと、いかにもそれらしいやり取りは愉快。
ロザーウラのフランス女の小間使マリオネット、宿屋の下僕アルレッキーノらの脇役も、側面から笑いを盛り上げています。
いわゆる高尚な喜劇ではなく、カラッと明るく笑ってしまえるところが楽しい。

※女性が男性を上手に手玉に取るという点では、シェイクスピア「恋の骨折損」に共通するところがあります。
それにしても、若い娘と年寄りという結婚の組み合わせは、当時珍しいことではなかったのでしょうか。

 


   

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