ジョージ・ロバート・ギッシング作品のページ


George Robert Gissing  1857〜1903 イングランド北部ウェスト・ヨークシャー生。マンチェスターのオーエンズ・カレッジで学ぶ。最初アメリカで、後にイギリスでフリー・ジャーナリストとして働く。イギリス社会の階級差別を小説のテーマとして描く。代表作は「三文文士」(1891)。日本では、自伝的エッセイ「ヘンリ・ライクロフトの私記」(1903)が有名。

 


 

●「ギッシング短篇集」● ★☆

 

 

1997年4月
岩波文庫刊

 

 

1997/05/09

「ヘンリ・ライクロフトの私記」著者の短篇集。それに惹かれて読んだのですが、まるで予想外の読後感。
上記「私記」から連想される薫り高い名品集、という感じは全くありません。それぞれ読みやすく、興味をひかれるストーリイではありますが、心に残るというような印象を受ける作品は、まずありませんでした。その反面、それぞれにおいてどことなく、人生思うようなわけにはいかない、といった作者の本音が滲み出ているような気がします。その理由は、巻末の解説でギッシングの人生を知り、納得することができました。

ギッシングがマンチェスター大学の学生だった頃、貧しい街の売春婦ヘレン・ハリソンを更正させようとしたが、彼自身が金に困って友人から金を盗もうとして逮捕、監獄行き、退学。アメリカへ行き雑誌に小説をのせたりしたが、成功もなくイギリスへ戻り、貧民街での生活へ。ヘレン・ハリソンを見つけ出し正式の妻としたが、彼女は酒浸りとなって死す。1891年行きずりに知り合った下層階級の娘イーディス・アンダーウッドと再び軽率に結婚。彼女はじゃじゃ馬の悪妻となった。子供も生まれて経済的に稼がなくてはならなかったこと、イギリスで短編小説が歓迎されるようになったことから、これら短篇が書かれたらしい。

最後の「クリストファーソン」は、資産家の息子に生まれながらもしくじって貧困生活に。それでも本への執着を忘れることのできない男を描いた作品で、ちょっと耳が痛いです。

境遇の犠牲者/ルーとリズ/詩人の旅行かばん/治安判事と浮浪者/塔のあかり/くすり指/ハンプルビー/クリストファーソン

 


 

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