|
|
●「ギッシング短篇集」● ★☆ |
|
1997年4月 1997/05/09 |
「ヘンリ・ライクロフトの私記」著者の短篇集。それに惹かれて読んだのですが、まるで予想外の読後感。 上記「私記」から連想される薫り高い名品集、という感じは全くありません。それぞれ読みやすく、興味をひかれるストーリイではありますが、心に残るというような印象を受ける作品は、まずありませんでした。その反面、それぞれにおいてどことなく、人生思うようなわけにはいかない、といった作者の本音が滲み出ているような気がします。その理由は、巻末の解説でギッシングの人生を知り、納得することができました。 ギッシングがマンチェスター大学の学生だった頃、貧しい街の売春婦ヘレン・ハリソンを更正させようとしたが、彼自身が金に困って友人から金を盗もうとして逮捕、監獄行き、退学。 境遇の犠牲者/ルーとリズ/詩人の旅行かばん/治安判事と浮浪者/塔のあかり/くすり指/ハンプルビー/クリストファーソン |