J・F・ガーゾーン作品のページ
Joseph F.Girzone カトリック司祭を退職の後、作家活動入り。
●「カ ラ 孤独なハヤブサの物語」● ★★★ 原題:“KARA,The Lonely Falcon” 訳者:沢木耕太郎、 画:小島 武
1995年05月 新潮社刊 (1400円+税)
2001年12月 新潮文庫化
1997/03/16
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95年の刊行当時、獰猛な隼の話かと思い、中味も見ずに見送っていた本でした。先日、書店で手に取った時、中の挿し絵の美しさ、清々しさから急に関心をそそられ、読むに至った次第です。 訳者が沢木耕太郎さんであるのも、興味をそそられる点です。 内容を一言で言うと、“新生”の物語です。
或る日、主人公であるハヤブサのカラは、突然、新しい生活を見出します。 今までまるで考えもしなかった行動。そして、その結果手にした、新たな喜び。ただし、その代わりに彼が失ったものも、また大きいものです。 どちらを選択すべきなのか、それは当事者次第としか言いようがありませんが、カラは新しく見出した生活を選びます。 新生によって得た喜び、この世界の美しさをカラが知り、大空を高く飛翔するシーンは、とても感動的です。そして、そこに挿入されている絵の美しさも、また嬉しい。 これはカラだけのことではなく、生きとし生けるもの誰にもあてはまる問題なのでしょう。
作者のガーゾーンは、聖職者だった人だそうです。だからこそ書けた物語とも、それにも拘わらず書けた物語とも言えそうです。
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