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「6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む」 ★★ 原題:"Le Liseur du 6h27" 訳:夏目 大 |
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2017年06月 2020/01/02 |
フランスで26万部突破、36ヶ国で刊行のベストセラーの由。 ということで読んでみました。 主人公はギレン・ヴィニョール、36歳。大量の本を断裁する、パリ郊外の工場で働く。 そのギレン、毎朝同じ時間の通勤電車に乗り込み、断裁の大型機械から生き延びた一頁を、声を出して朗読するのが常。 代わり映えのない平凡な一日の繰り返しのようでしたが、いつの間にかギレンの行動は他の人との繋がりをもたらしていた。 そしてある日、ギレンが車内で収納式座席を引っ張り出した時、USBメモリが転がり出してきたのを見つけます。 その中には、ある女性の日記らしいものが記憶されていた。 現代ストーリィですが、まるでお伽話のような展開。 でもギレン、相手の女性とも、必ずしも望まれるような仕事に就いている訳ではなく、むしろ底辺的な職業。 それでも地道に生きている2人が、ある偶然から繋がる、というストーリィ、最後のエンディングには心嬉しいものがあります。 ただし、折角の電車内の朗読、そこからもっと広がるものがあっても良かったように思われるところが、ちと惜しまれます。 |