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「レモンの図書室」 ★★ |
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5歳の時にママは癌で急逝。それ以降、カリプソはパパと2人暮らし。そのパパはいつもカリプソに、強い心を持て、そうすれば一人でも大丈夫、といつも言い聞かせて来た。 そのためカリプソは学校で友人も作らず、いつも一人。そんなカリプソの唯一の心の支えは、ママが遺してくれた沢山の本。子供向けの本、大人向けの本が自宅の2つの部屋に。まるで図書室のように。 しかし、そんなカリプソの前に、転校生のメイが現れます。 自分と同じ本好き、しかも好みもそっくりとなれば、友だちにならない訳がない。 メイと仲良くなった時から、カリプソの全てが徐々に変わっていきます。 父子2人きりなのに父親からきちんと世話をしてもらえない、それなのにいじけることもなく父親の教えを忠実に守ろうとするカリプソの、何と健気なことか。 そして、頼れるものがないとき、どんなに本は心の支えになってくれることか。カリプソが挙げていく本の題名を聞くだけで、共感し楽しい気分になります。 しかし、いくら本好きであっても、本だけで全てが足りる訳がないと、私でも判ります。 メイと親友になってからのワクワクする気持ち、メイ家族の様子と自分たち父子を較べる寂しさが、リアルに伝わってきます。 でもメイは本当に強い女の子。自分のことより、父親のことを心配する、心の大きさがあるのですから。 題名からは爽やかな印象を受けるのですが、欧米では、レモンというとむしろ欠陥や困難というイメージらしい。 父と娘という2人家族の再生ストーリィ。子供向け作品と思いますが、大人が読んでも尽きない感動があります。 お薦め。 |