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1.シェリ 2.青い麦 |
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1920年発表
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文庫表紙の紹介文には「コレットの最高傑作」とあります。 本書は、親子程も年の違う男女間の恋愛を描いた作品であり、如何にもフランス的であると同時に、如何にも日本人から縁遠いストーリィです。 主人公のレアは49歳の元高級娼婦、現在は充分な財産を有し、召し使いにもかしづかれて、プチブルジョアといった優雅な生活を送っています。彼女の現在の恋人は友人の息子フレッド、25歳。レアが“シェリ(いとしい人)”と呼ぶ美貌の青年です。しかし、言葉遣いは粗野で、シェリは必ずしも上品な青年ではありません。 ストーリィは、まずレアとシェリが2人で迎える朝のシーンから始まり、まもなくシェリの結婚話がまとまろうとしていることが明らかにされます。相手は19歳の若く美しい娘エドメ。 年齢差を思うとこの2人の恋愛関係は納得し難いところがあるのですが、理屈をはるかに越えた情熱がこのストーリィにはあると実感させられます。不自然と思うような間がありません。 恋に燃えつつ、自分の美しさそして同時にその老いを自覚せざるを得ない、レアという女性の創造が見事です。 |
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1955年03月 第37刷
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毎年避暑を一緒に過ごす2家族の子供たち、フィルとヴァンカは幼馴染。 2人にとって、お互いは自分のものと信じるのは自然のことですが、16歳と15歳という時期に至ると心の内に微妙な揺れが生じてきます。 本作品は、そんなひと夏の出来事を鮮烈に描いた青春・恋愛小説の傑作です。 将来的にもお互いを自分から切り離して考えられないことに2人とも微塵の疑いも持ってはいませんが、一人前になりかけている男女の微妙な心理、相手の気持ちが読めないことの迷い、恋愛の喜びと不安を知る季節を2人は迎えた訳です。 本作品は、互いが異性であることを意識し始めた2人の心中の微妙な移ろいを、フィルを主体に詳細に描き出していきます。それは読み手にとっても無縁な感情ではない筈。だからこそ、本作品は読者を永遠に惹きつけて止まないのだと思います。 ストーリィ出だしの「漁に行くのかい、ヴァンカ?」というフィルの呼びかけ、終盤の「とにかくあんたは間違ったことをしたのよ、フィル。なぜかって、あんたはあれを私にこそ求むべきだったのよ....」というヴァンカの一言は、いつまでも私の胸の中に響いています。 |