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Cho Ban-hoo 1978年韓国ソウル生、梨花女子大学社会学科卒。卒業後、放送作家として社会派番組のトップ「PD手帳」や「生放送・今日の朝」などで時事・教養プログラムを10年間担当。2011年長編小説「耳をすませば」にて文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。16年「コマネチのために」にてファンサンボル青年文学賞、17年「82年生まれ、キム・ジヨン」にて第41回今日の作家賞を受賞。 |
「82年生まれ、キム・ジヨン」 ★★☆ |
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2018年12月
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韓国社会における根の深い女性差別の実態を告発した小説。 刊行されるや否や、女性たちから共感され、大ベストセラーになったとのことですが、読んだ内容からするとさもありなん、と感じます。 主人公はキム・ジヨン、33歳。3年前に3歳年上のチョン・デヒョンと結婚。小さな広告代理店に勤め、結婚後もそのまま働きたいと思っていたが、昨年女児を出産し、やむなくそれを機に退職したという女性。 そのキム・ジヨンが子供の頃から味わって来た女性差別の実態を、振り返る形で描かれます。 まず、家庭内においても男子優先。女子は男子を支えるためなら学業を諦めて働くのも当然、という考え方。 学校の場でも、就職活動の歳にも、常に男子が優先され、女子と言うだけで後回しにされる。 やっと就職しても、職場ではやはり男子が優先。結婚、出産しても、女子が働き続けるための制度は整備されていない。 ストーリィ中、ジヨンや同級生たちが、何度も憤懣やるかたないという声を上げていますが、そりゃ当然だろうと思います。 翻って日本社会ではどうか。 私が結婚した頃は、女性が結婚すれば退職、家庭に入って専業主婦、というのが一般的な考え方でした。 でも、ちょうど女性総合職という制度も出来始めた頃で、職場で女性を排除するような空気はなかったと思います(職場によるでしょうけれど)。 暗黙の了解はあっても、韓国のようにあからさまに行う、口にする、ということはなかったように思います。 まして、こんなに相手の気持ちを無視して言いたい放題、とは。これはやはり国民性の違いなのでしょうか。 いずれにせよ、男女差別のない社会を望みます。 2015年秋/1982年〜1994年/1995年〜2000年/2001年〜2011年/2012年〜2015年/2016年 |