マイケル・ボンド作品のページ


Michael Bond  1926年英国ニューベリー生。中学卒業後、法律事務所勤務を経て見習い技師としてBBC入り。43年軍隊に入隊、航空士訓練を受けた後カイロで2年間勤務、その間に短篇を書き始める。BBCに再入社し、ロンドンへ戻る。58年「くまのパディントン」を発表、作家業に専念。“パンプルムース”シリーズは合計6作を発表。

 


   

●「パンプルムース氏のおすすめ料理」● 
 
原題:"Monsieur Pamplemousse"

 


1983年発表

1998年
東京創元社刊

2001年7月
創元推理文庫

(600円+税)

 

2001/08/25

「元パリ警視庁刑事でグルメ・ガイド覆面調査員と、味にうるさい元警察犬の珍コンピが巻き込まれた奇怪な事件」「くまのパディントンの作者が大人たちに贈る世にもおかしなドタバタ・ミステリ」「パディントン作者による超傑作ミステリ」
上記のような宣伝文句を読めば、<グルメ+傑作ミステリ>を期待するのは当然だと思うのですが、それはまるで見当違い。どうもこの作品、<ミステリ風味のグルメ+ユーモア冒険譚>として読むのが妥当のようです。
冒頭場面は、レストラン。主人公パンプルムース氏が料理を味わいつつ採点の真っ最中。テーブル下の愛犬ポムフリットも、主人に負けずと料理を賞味しているところが可笑しい。
そこに当店の名物料理“ブレス産雌鶏の膀胱包み”が出てきたと思ったら、なんと膀胱包みの中には男の首が!
果たしてどんなミステリかと思うと、主人公ばかりが狙われ、肝心のミステリ本筋は曖昧模糊としたまま。そしてそのまま結末まで到達してしまうのですから、もうキョトンとする他ない。
ですから、本書をミステリとして読むのは間違いなのであって、人間+犬のコンビによる珍道中譚として読むべきなのです。
片や、オーナーシェフ・ドゥアールが披瀝する美味の数々、片やシェフの妻ソフィーによる夜這い攻撃、それを1人と1匹が存分に味わい、或いは身をかわそうと奮闘するところが、本作品の面白さです。
もっとも、そのユーモアは如何にもフランス的であって、日本人にはなかなか合い難いもの。したがって、期待を逸らされた思いと併せ、今ひとつ物足りずというのが本作品の評価。
※なお、フランス語で“パンプルムース”はグレープフルーツ、“ポムフリット”はフライドポテトの意味だそうです。

 


   

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