1964年発表
2012年01月
福音館書店刊
(1800円+税)
2012/04/28
amazon.co.jp
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装丁家=名久井直子(1976生)さんが、TV番組で“私が勧めるこの一冊”として挙げたのが本書。
(もちろん本書の装丁も名久井さんが手がけています)
私はそれまで全く知りませんでしたが、作者のビーヘル、オランダを代表する児童作家。その代表作が本書とのこと。
千年もの国中の全ての生き物たちを治めてきたマンソレイン王、千年もの間家来たちは一人一人と世を去り、王が住む銅の城で今も仕えるのはノウサギ一匹のみ。そしてマンソレイン王の寿命もあと僅かに迫っています。
まじない師曰く、王を救うには<ネジマキ草>という薬草を取って来るしかない。しかし、そのためには長い旅が必要。その間何とか王の命を引き延ばしておくには、毎日胸がワクワクするお話をきかせなくてはいけない。旅の先々で、この銅の城を訪れ王に話を聞かせるように伝えよう、とノウサギに言い残してまじない師は出発します。
いろいろな動物たちが毎日毎日、王に話を聞かせようと訪ねてきます。マンソレイン王はノネズミが心配そうに見守る中、何とか命を長らえています。果たしてネジマキ草は間に合うのか?
全15章、動物たち+αが語る様々なお話(14章)も楽しいのですが、次第に胸が温かくなってくるような気がするのは、動物たち皆の、マンソレイン王に長生きしてもらいたいと願っている心が伝わってくるからです。
児童向け作品と一口に言い勿れ。本書には様々な動物たちの物語を始め、魔女の話や、おとぎ話のような話もありと、まさに多種多様。
そして各章の最後には、まじない師の苦労余りある旅の様子の中継有り。
さらに、マンソレイン王自身のそもそもの話まで語られるといった盛り沢山の内容。お話好きにはお薦めの一冊です。 |