1985年10月
新潮文庫刊
1985/12/14
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イギリスの政界を舞台に、3人の全く異なったタイプの議員が、それぞれ最終ゴール
(首相)を目指して奮闘する一切を描くストーリィ。
題名の「ダウニング街10番地」とは勿論首相官邸のことです。
テーマの面白さ、読者をストーリィに引き込む感じは、アーサー・ヘイリーにやや劣るものの同類のものであって、
ヘイリー同様息をつかせぬ面白さがあります。
ただ、登場人物の3人、サイモン・カースレイク、チャールズ・ハンプトン、レイモンド・グールドを余りに類型化し過ぎている観があって、表面上多少巧妙にはなっているものの、基本的に処女作「百万ドルをとり返せ!」と同じようなマンガ的側面を感じます。
とは言っても、作者のアーチャーが元々保守党の政治家だけに、イギリスにおける議員生活の一面がよく描かれているのも、実に興味深いものがあります。
また、サッチャー首相が堂々と登場していて、重要なキーパーソン
になっているのも面白いところです。
なお、本書の結末を作者は2通り書き上げているそうで、なかなかの商売上手!と思わざるを得ません。
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