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1.肩胛骨は翼のなごり 2.ヘヴンアイズ |
「肩胛骨は翼のなごり」 ★★ カーネギー賞・ウィットブレット賞 |
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2009年01月 2004/07/26 |
主人公マイケルと隣家の少女ミナによる、不思議な体験を描いた児童向け小説。
マイケルは両親と赤ん坊の妹と共に、新しい住まいに引っ越して来ます。その家にはガラクタばかりを詰め込んだ廃屋のようなガレージがあった。 生死の境にいる赤ちゃんの苦難を感じ取って、マイケルの心情は不安に揺れ動きます。その一方で、風変わりな少女ミナと共にスケリグへの関心を抑えられない。果たしてマイケルが出会ったスケリグとは、現実的な存在なのか。 懐かしさを感じるような幻想的雰囲気と、ストーリィにある気品が印象的。 |
「ヘヴンアイズ」 ★☆ |
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正直言って、捉えどころに困惑した作品。 自由と冒険を求め、3人の子供たちが孤児院を抜け出し、筏で川を下ります。しかし、3人が行き着いたのは“ブラック・ミドゥン(黒い泥沼)”と呼ばれる地帯。 身動きの取れなくなった3人がそこで出会ったのは、両手に水かきのある少女と奇妙な老人。3人は、崩れかけた倉庫や工場が立ち並ぶ一画で、その2人と暫し暮らすことを余儀なくされます。 2人はいったい何者なのか。幻想的でややホラー的な雰囲気が、本作品の全体に漂っています。 主人公である少女エリン・ローと仲間である2人の少年は、いずれも愛する親を失ったというトラウマを抱えています。それが、孤児院からの脱出を彼らが繰り返す理由。 ※同じ孤児の川下り冒険小説であっても、開放的なM・トウェイン「ハックルベリー・フィンの冒険」と対照的に、本作品は閉鎖的かつ幻想的。いかにも英国文学らしい、と感じます。 |
3. | |
「ポケットの中の天使」 ★★ |
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定年間近の路線バス運転手、バート・ブラウン。かつてはバス運転が大好きだったものの、長年運転手をしてきた今は、面倒な乗客、うるさい子供たちへの愚痴ばっかり。 ある日の運転中、自分の胸に何か異常が?と心配して見ると、何と胸のポケットの中に小さな天使が! 翌日、セント・マンゴー校で調理師をしている妻ベティが、アンジェリーノと名付けた天使を学校へ連れていくと、気付いた生徒たちが大興奮。 その一方、アンジェリーノの姿を窺う怪しい人物の影が・・・。 小さな天使のアンジェリーノ、彼が何かをする、という訳ではありません。でもその愛らしい姿にブラウン夫婦や心ある人たちの気持ちが変わっていく、というストーリィ。 そしてアンジェリーノの危機に、3人の生徒たちは積極的に冒険します。 どちらかというと児童向け作品でしょう。でも、大人たちの中にある純真な気持ちを引き出すストーリィにもなっています。 最後は、あれっ?という結末でしたが、何やら心ウキウキと楽しくなってくる気分です。 |