四国・剣山へ/家族キャンプとブナ観察
1998/8/12〜8/13

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西島周辺の花お花畑の花


《旅立ち/身の越へ一直線》

 『剣山に登っていない』というつまばやしの一言で行程が決まった。終点は愛媛。なら、剣山と石鎚山周辺にも立ち寄ろうと衆議一決。レンタカーを借りて最大限に利用する趣向だ。となると、節約方式の我が家は自動的にキャンプと相成る。いや逆に、キャンプだから車が必要になるとも言える。長男のこぶなは小3だから、それなりに歩かせるのが当然。がしかし、2歳半の長女ひめしゃらが一員に入っていると、荷物対荷運び人の比率が低くなり、文明の利器を最大限に利用する形となる。要となる親父も、ついつい軟弱となる^^;。

 8月12日の早朝(11日の深夜というべきか)1:30過ぎに大阪の自宅を出る。目指すは徳島。当然のことのように開通した明石大橋を渡る。深夜であるからして景色も見えず単に通過である。これは淡路島出身の自分にはつらい。特に淡路島が通過地点にされることに反感を持つ自分には申し訳ない。がしかし、帰りには、ちゃんと仁義を切るからと走り抜けると、なんと2時間で徳島に着く。

 徳島道に入り美馬までは快適な走り。この先がなんとも数十年前と変わらない。剣山の登山口である身の越へは細い道路が続いている。どこかで仮眠するぞ!と話していたのもどこへやら。貞光からR438を南下しているうちに、明るい月明かりと星空に代わって、空が明るくなってくる。窓を開けて走っていると、冷気が涼しい。後ろから『クーラーを緩めたら』と声がするが、これは天然のクーラー。寝ている子供たちだって涼しかろうと気にしない(^_^;)。

 身の越に着いたのが6時前。混み合うだろうリフトの駐車場もがら空き。日の当たらない2階建ての駐車場の下に止める。それまで熟睡していた子供たちも、車が止まったら跳ね起きるひめしゃらを初めとして、次の行動へと動き始める。リフトは7時運転開始。さすがにキャンプ道具を詰め込んだ荷物を担ぎ上げるのは辛い。予定どおりリフトの運転開始を待つ(^_^;)。暑い下界と違って、ここは別天地のよう。それぞれ上着を着ける。


《リフトで西島駅へ/足元に高山植物が!》

 ここのリフトは重いリュックを背負ったまま乗れる椅子ではない。心配顔で近づくと、荷物は別に乗せてくれるという。親子4人が乗った後、荷物だけが椅子に座って付いてくる。こぶなの「落ちるのぢゃないの?」という心配とは裏腹に、快調に落ちることもない。いや〜、らくちんらくちん!^^;。

 がしかし、リフトから見下ろす地帯には、次々と高山植物が咲いている。リンドウの蕾、ニッコウキスゲ、ツリフネソウ類、アザミと。おまけに、レンゲショウマまで見えたときには、こりゃ幸い。え〜時期に来たもんだ!。少し薄雲はあるが天気は快晴。眺めもいい。こうなるとテント張って寝る!との言葉はどこへやら。機会は最大限に使うもの。『テント張ったら登るぞ!』との声に一転する。子供たちに依存はあろうはずがない。

 リフト西島駅に降り立つと、なになにシコクフウロ?、トリカブトもあるやんか、ハハコグサ(→ホソバノヤマハハコに訂正)も咲いている。『早うテントを張ろう!。悠長にしているともったいない!』と、取りあえず少し降りたところのテン場を確保。注意して決めないとリンドウの蕾を踏んづけてしまう。こんなにいいキャンプ場なのに空いている。そか、皆、日帰りで楽しんで帰ってしまうのだ。もったいないことやなぁ〜。


【西島駅周辺の花】

朝のリンドウ

←リンドウ(キャンプ場の近くで)

※リンドウ科リンドウ属。朝のうちだから、まだ開いていない蕾。うっかりするとリンドウの花の上にテントを張ってしまいそうなほど、テント場に入り込んでいる。

アザミ(キャンプ場の近くで)↓

※キク科アザミ属。詳細名称は…。

アザミ

ホソバノヤマハハコ

←ホソバノヤマハハコ(西島駅の前で)

※キク科ヤマハハコ属。「ハハコグサ」との看板があり、図鑑も見ずに、そう思いこんだが、季節も違うのでこれに訂正。

シコクフウロ(西島駅の前で)↓

※フウロソウ科フウロソウ属。名前は看板から。
ハクサンフウロとの違いはよくわからない。

シコクフウロ


《山頂へ/ブナだ!》

ブナの幹

 行動用ザック(といってもカメラや双眼鏡、炊事道具まで入った重たいもの^^;)と子供用の背負子を夫婦で担いで行動に移る。こぶなの意志に反して、できるだけひめしゃらが歩ける道を行く。結果として一番遠いコースを歩いた。小屋が取水している水場があり、大剣神社も見上げて迂回する。すると御神水ではないけど水場があり、喉を潤す。と、よく見るとお花畑である。

 オタカラコウ、シコクフウロ、ツリフネソウ(キツリフネとハガクレツリフネ)、サラシナショウマなどが咲き誇っている。トモエシオガマまである。こりゃ幸いとカメラを向けているといっこうに進まない。これは36×2本では足りない!。思わず悩むことになった。とと、ブナ帯は過ぎていると思いこんでいた自分に、つまばやしから『ブナぢゃない?』と声がかかる。まさしくブナ。日本海形のコハブナである。なんとも実をたくさんつけている。ダケカンバやカエデの大木もある。ノリウツギがピンク花を見せている(枯れかかり)。お花畑にはトンボが飛び回り、レイジンソウまで混じるようになった。

↓ブナの実。→ブナの幹。

ブナの実


分岐からのジロウギュー

 2歳ひめしゃらの小幅歩き+観察&写真撮影モードの一家である。当然、他の人たちに道を譲るのではあるが、直登コースが多いようで迂回道は比較的に空いている。ジロウギューが目の前に見える分岐で休憩。登りという登りがないので完全徹夜も気にならないほど。そう、20年ほど前に来たとき、ジロウギューの頂点を踏んだかどうかは定かではないが、縦走して泊まったのは丸石避難小屋だと思い出す。縦走路は笹で覆われ、道がはっきりしなかった。小屋は1代前の新築時期で、新しく快適だったが、困ったのは水だったな。別のパーティーと雨水が滴り落ちるのをコッヘルで受けたっけ。

 剣山の頂上は、実に人が多かった。記念写真だけ撮って昼飯、昼飯と急ぐ。いや、ラーメンくらいは持っているが、こんな人混みでは作る気にはならない。頂上ヒュッテに駆け込んで昼食とした。人慣れたアサギマダラが一匹、店番をするように入口周辺にいるのは、なんとも風流。小屋の人にキレンゲショウマが一株残っていると聞いて観察。花畑に移植したものという。が、この花も終わりだ。



【お花畑の花たち】

アキチョウジ

←アキチョウジ

※シソ科ヤマハッカ属。

レイジンソウ↓

※キンポウゲ科トリカブト属。

レイジンソウ

トモエシオガマ

←トモエシオガマ

※ゴマノハグサ科シオガマギク属

不明の花↓

※葉っぱを捜したが、見あたらず。
キキョウ科であろうか?

不明の花

ギンバイソウの花

←ギンバイソウの花

※ユキノシタ科ギンバイソウ属。二またに分かれた葉っぱが特徴。鬱蒼とした林内に生えていると気味が悪くなるが、花は美しいもの。

リンドウ↓

リンドウ

シロヨメナ

←シロヨメナ?

※キク科シオン属。

アキノキリンソウ↓

※キク科ハマベノギク属。

コウゾリナ

←コウゾリナ

※キク科コウゾリナ属。

クサアジサイか?↓

サラシナショウマ

←サラシナショウマ

※キンポウゲ科サラシナショウマ属。

オタカラコウの花とアサギマダラ↓

※盛りを過ぎつつあるオタカラコウの花の蜜を吸っている。
 山頂付近のあちこちでこんな姿が見られた。

アサギマダラ


《キャンプ、キャンプ!》

リフト西島駅からキャンプ場と三嶺

 人の多い直登コースは、降るときも避けようと、行場を回るルートで降りる。午後3時も近いので、夕食に取りかかる。向かいには三嶺であろう、くっきりと見える。ジロウギューも涼やかな姿を見せている。景色も堪能しながら18時には就寝である。長い一日であった。テントは3張り。もう静かになったテン場付近を独占したようなものであった。

※この日の献立は、そうめん(近くに水場がある)とウインナー、茄子、玉葱を入れた野菜炒め。それにカレーライスとフカヒレスープ(これらはインスタント)。茄子とキュウリも生で。自分はカップ酒。わいがや言いながら高原のキャンプを楽しんだ。

※写真の紫色のテントに加え、その入口の上にツェルトを三角に張った。どちらかというと、雨対策ではなく上から見えるのを防いだ形。夜半、風でバタついて失敗に終わった。他のテントの人にも迷惑でしたね、ごめんなさい。

※ここのテント場は、草地があり、マット不要で快適。

←リフト西島駅からキャンプ場と遠くに三嶺。



《身の越まで歩いて下山》

 8月13日の未明3時。テントの外に出ると星がよく見える。少しの間に流れ星を3つ見た。けど、昔よく見たものではなく、光り輝いて一瞬のうちに流れ去る。人工衛星であろうか…。バタつくツェルトの紐を張り直し、もう一眠り。6時に起床。せっかく持参した食料だからと、豪華に朝食を済ませてテントを撤収し、8時に出発。少しは軽くなった荷物を分担して、身の越まで歩いて降る。ここも観察コースで遠回り。ブナやナンゴクミネカエデなどを観察しながら、ゆるゆると降る。さすがに朝、鳥たちも姿を見せてくれる。

※昨日リフトから見えたレンゲショウマが咲いていないかと捜して歩いたが、見つからず。残念。リフトと交錯した道沿いに「イヌブナ」との看板があったが、どう見てもブナだった。ここの看板は怪しいと思ったもの。はて?

 身の越に着くと、なんと駐車場が満杯。10:30ごろだったか。そそくさと人混みとおさらば。まだ空いていた奥かずら橋(二重かずら橋)、超満員で数珠繋ぎのかずら橋にも立ち寄る。もちろん一家ですべて渡った。このR439も細い道。加速とブレーキを駆使して走っていると、ワインディングロードであることもあろう、四方への揺れでひめしゃらが車酔い^^;。途中、休憩しながら秘境の湯へ。流行っている。ここで汗を流して愛媛に向かう。祖谷渓道路を抜け、大歩危からR32、R192と走る。三島川之江で松山自動車道へ入って、目的地も近いという伊予西条付近からR11にかけて断続的に大雨。明日の天候が心配されたのであった。

※数日後、かずら橋で小さな子供が木組みの間を抜け落ちて死亡したというニュースを読んだ。我が家の場合は、つまばやしと自分がひめしゃら(娘、2歳半)の両方から手をつないで渡ったのだが、こういう危険性があるので注意する必要がある。特にこのとき(数年で掛け替えられる)、奥側に行くほど間隔が空いていた。自分も2〜3度、ひめしゃらが踏み外しそうなとき、手を引き上げてスリリングな思いをした(当の本人は怖さ知らず…)。

※「秘境の湯」は、祖谷街道の一宇(西祖谷)から大歩危へ抜ける祖谷渓有料道路(ちなみにもう無料となっている)へ向かう道路に入ってすぐにある。TEL:0883-87-2800。平成9年8月のオープン。各種の屋内風呂に加えて、露天風呂もある。そこそこの料金で、浴衣も付いている。


西島周辺の花お花畑の花
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