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ブナ観察紀行(白山・千振尾根/刈込池)

ツリフネソウコウゾリナヤブレガサクルマバナ?ヤマアジサイトチノキオオカメノキサンカヨウタマガワホトトギスアリドオシ何かのムカゴノリウツギソバナ?蝶のサナギ案内板1案内板2刈込池モリアオガエル?まか不思議な実

《プロローグ》

 高山植物咲く白山へ、との計画もあったのだが、初日は大阪出発が遅くなり、地道を走ったために夕刻5時にようやく市ノ瀬に着いたのがせいぜい。それではと予定をブナ観賞コースと決めて市ノ瀬にキャンプを張った。ぶな一家にとっては、年間1回あるかないかのレンタカーを借りての旅である。

【日 程】:1996年8月9日〜11日
【山 域】:白山・千振尾根&刈込池自然研究路
【ルート】:8/10 市ノ瀬〜千振尾根(別山への中間標識越えたところまで往復)
      8/11 刈込池自然研究路を一回り(別山南の三ノ峰への登山口近く)
【天 候】:8/10 晴れのち曇り・小雨/8/11 晴れ
【メンバー】:ぶなばやし、こぶな
【地 図】:エアリアマップ『白山』

【タイム】:次のとおり(ゆるりと休憩とって歩いたため参考にならず)
  8/10 07:45 市ノ瀬キャンプ場発〜08:52 別山登山口〜10:25 水場休憩
     〜12:40 水飲み場(別山6.2km)〜12:45 上段底(別山6km)〜13:40
     別山4.7km〜14:00 登り打ち切り〜16:55 登山口に戻る
  8/11 08:35 上小池発〜09:00 三ノ峰登山口入口通過〜??:?? 刈込池
     〜11:10 上小池に戻る

《8月10日/千振尾根》

 朝早く出て千振尾根を登るぞと話していたのだが、結果的にはそう早くない。ま、ゆるりとキャンプも我が家の伝統である。昨夜、あれほど星が見えていたのだが、今朝は少し雲がある。市ノ瀬から別当出合への林道を少し歩くと、右上に林道が分かれている。こちらに進む。岩屋股谷に沿っている林道だ。谷の橋を渡ってすぐ、こぶなが喉が渇いたと休憩。カケスがあの特異な声を出して飛んできたのはいいが、そこへ車が走ってきたので飛び去ってしまった。この道は入口で規制されているのだが、許可を得て入ってくる車が数台いた。

【市ノ瀬から登山口までで出会った草花たち】左から、ツリフネソウ、コウゾリナ、ヤブレガサ、クルマバナ?。

ツリフネソウコウゾリナ

ヤブレガサクルマバナ?

トチノキの幹 赤トンボが飛び交い、ふと道側を見るとバッタがいる。少し離れて双眼鏡で観察する。なんとものどかな親子である。しばらく進むと、柳谷の堰堤右手に登山口があった。入口は細かった。あまり人が入っていないなと想像される。トチノキの実が落ちている。少しいただく。しばらく行くと、道ばたに多くの実が落ちている。見上げるとトチノキの大木があちこちに。白峰村にトチノキの植林が目立ったが、自然に生えている木を植えているのだと悟った。心温まる思いである。

 やがてブナも現われ、オオカメノキの朱色の実も目立つ。何やらアオキのような木に赤い実が付いている。ヤマアジサイも咲いている。風が通り抜けると実に涼しい。最初の水場に来たとき、後ろからご夫婦が来た。『尾根筋まで出ると、白山が眺められますよ』と聞いた。よし!できればブナ帯を抜けるまで登ろうと思いつつ、1時間に1回以上の休憩をとり、ブナの森の中で昼食など(^_^;)。ヤマアジサイの写真を撮ったり、ゆるりと登る。熊も出たらしいが、こぶなの守り神は風読さんからいただいた鈴。ザックに付いている。親子で声も掛け合っているし、まずは大丈夫だろう。

オオカメノキヤマアジサイの花

ヤマアジサイの花ヤマアジサイの花

【そのほかにも】左から、サンカヨウ、タマガワホトトギス、アリドオシ、何かのムカゴ

サンカヨウの青い実タマガワホトトギスの花

アリドオシ?何かのムカゴ

 登るにつれて尾根筋に出て、『ブナ・ブナ・ブナ』と感じる一番のブナ帯を抜けたようだ。ノリウツギの白花が美しい。「別山4.7km/市ノ瀬4.7km」とのほぼ中央の標識も過ぎていた。ハクサンシャジンであろう、咲き乱れている低めのお花畑も過ぎたところだった。ブナ帯を抜けたかと思ったが、尾根にはまだブナが見えるし、ダケカンバが見えない。今日の登りはPM2時が限度と決めていた時刻が来てしまった。ここで降りることにする。

ノリウツギソバナ?

 雲行きが怪しくなり、既に雲に入ったようだ。こぶなが頭が痛いと言い出したので寒気がするのだろうとセーターを着させる。下りの途中ではぱらぱらと雨も。まだ数名のパーティーに出会ったが、実に静かな山が楽しめた。登山口に戻り、堰堤に出ると、河原にウサギの足跡か、見られた。こんな広場のような河原まで水を飲みに出るのは危険が多い。そんなことをこぶなに話した。沢筋には堰堤が多い。向かいの尾根には別当出合に向けてバスがうなって登っていくのも聞いた。開発とはこんなものだろうかと考えてしまう。

【こんなサナギに出会った】さて、何の蝶のサナギだろうか?

 この日、テントに戻って夕食を取り、持参のお酒を飲む。白山の伏流水で作ったという酒、まさに白山の麓で味わっていると、なんと大雨。外で遊んでいたこぶなとともにテントに逃げ込んだ。昨夜、付近一帯ににクワガタムシが出ていたのだが、今夜は望むべくもない。ただおとなしく寝るぶな一家であった。


《8月11日/刈込池》

 朝6時にテントをたたんで市ノ瀬を出立。白峰村・勝山市・大野市と、R157からR158を走って勝原で打波川に入る。鳩ヶ湯温泉に向かう道だ。早朝のドライブは気持ちがよいが、ほとんど一車線のこの道は長い。こんな山奥とは思わず、やっとこさ上小池に着く。ここが林道の終点だ。ここのブナ原生林も素晴らしいと聞く。駐車場に止めているのは、どうやら地元の人たちだ。

【刈込池自然探索路にある案内板】

案内板(森林と小鳥) 少し山道を下って川沿いの林道を歩く。オオルリやウグイスの声がする。川の中の岩にカワガラスが体を膨らませて留まっている。途中、三ノ峰への登山口を過ぎた。ここから三ノ峰・別山・南竜が馬場へは高山植物を観察する静かな良いコースだと昨年夏の岳人に載っていた。橋を渡って小さな谷に入る。山道を登っていると何やらネズミか、岩の間を走った。ここも千振尾根と同じでヤマアジサイが咲き、トチノキが見える。尾根筋に出るとブナが多い。やがて刈込池に飛び出す。静かなたたずまいだ。

【刈込池】

案内板(刈込池の伝説)刈込池


モリアオガエルか?まか不思議な実

 こぶなが青いトンボと叫ぶ。細い体が青い。秋にはブナの紅葉が映えるだろうと思われる池を過ぎて見晴らしの良いベンチで一休み。足下にはブナの実の殻と葉が積み重なっている。今日も少し雲が出ていて眺めは良くない。尾根筋が見えないのは残念だ。ここから急な下り。上小池から刈込池に直接登ってくる人が多いようだ。10数人か、登ってくる人たちに出会った。その途中、松の木に留まって餌を食べているリスを見た。登ってきた子供たちにも指を指して説明する。後ろで『また見えた』と歓声を上げている。川に出るところで鳥の姿が多くかいま見られた。シジュウカラの雌か、ネクタイが太く短い鳥が見られた。

 こうして自然観察路を一周して、鳩ヶ湯温泉に赴く。そばを食して温泉で3日間の汗を流したことは言うまでもない。説明書きを控えていないのが残念。ここで自宅に電話したとき、足下にクワガタムシが。丁重にお土産とさせてもらう。もう一つのお土産はブナの水。後は、福井北インターに出て北陸道と名神をひた走って帰宅した。


《あとがき》

 クワガタムシは自宅の籠で元気にしている。こぶなには観察記録を取れと言うのだが、まだ少し早いようだ。そして、思わぬお土産が…。ひっつき虫ならぬ「吸い付き虫」であった。そう、こぶなの頭に虫が付いていたのだ。帰った次の日には白い細いコブと見えたので放っておいたのだが、4日経った朝、なんと青みがかった銀色の虫が転げ落ちていた。同じ虫がこぶなの頭に。どうやら2匹吸い付いてきたのか、針で刺して潰して取ったのであった。温泉で頭も洗ったのに、なぜか残っていたのである。


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