京都・芦生の森(三国峠)へ
1998年9月19日(土)

'98/9/27登録;'99/5/22写真を挿入

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【生杉を経て登山口へ】

 7月に訪れた場所。けど、そのときはクチクボ峠の登山口から周遊路の様子を見ただけで終わっていた。伊吹山の麓で仕事を終え、会社に帰っても就業時間は過ぎてしまう。なら、この機会を有効に使わせていただこうと考えた。秋の花を求めて伊吹山に登ることも考えたが、この前、赤坂山でブナの実が見られなかったことが気になり、本当に湖北でブナの実が見られないのか、木々たちの様子がどうであるのか観察することとした。

 この間に、丹波の奥、栗や黒豆で有名な和知町で話を聞くと、栗の実に虫が付いて良くないと聞いた。この日、伊吹山の麓でも、会社の裏山にある栗の実は虫が付いて全滅状態だったと聞いた。今年の天候といい、何やら自然界に異変が起こりつつあるように感じる。

 伊吹山の麓から湖北を抜けて湖西へ回り、近江今津から生杉へ向かう。若狭街道(R303)を走り、保坂で敦賀街道(R367)に入り南下。檜峠を過ぎた分岐道を生杉へ向かう。細い道が続くが、生杉辺りから雨模様になる。この日、昼頃から晴れ間が見えるようになるのではないかと思っていたが、伊吹山はまったく雲に閉ざされていたし、不穏な雲行きがまだ続いていた。


【報告文書】

登山口の休憩所

 立派なトイレや休憩所があるクチクボ峠登山口に着いたのが、ちょうど12時。相当な雨が降っていた。今日もまた雨か!と思う。この地域も多雨地帯のようだ。コンビニで調達した弁当を食べているうちに小雨になってきた。こりゃ幸い!と休憩所で山姿に着替える。ご夫婦が滑るからやめたと降りてきて帰られた。




←休憩所の向こうに看板があります。そこを
 クリックすると大きく見ることができます。


  13:15クチクボ峠登山口発〜13:35尾根筋(雨具の下を付ける)13:45〜
  14:15三国峠14:25〜15:30地蔵峠分岐〜15:37中山神社〜15:40杉尾峠分岐
  〜15:45長治谷作業所15:55〜16:07地蔵谷分岐〜16:10地蔵峠(車止め)〜
  16:40クチクボ峠登山口

ツリフネソウ

 登山口では、ツリフネソウ(←写真)が実に多い。姿を写真に収める。水を汲んで出発。沢の右手から階段道の観察路を抜け、急登に入る。若走路谷というらしい。この間、ブナ、トチノキ、カエデ類、シャクナゲ、オオカメノキの森である。シャクナゲの木も多い。アキチョウジコウヤボウキ?が咲いている。尾根筋に近づくにつれ、ササが多くなる。

 尾根筋に出て(ここがクチクボ峠だったわけ。標識もなく通り過ぎた)、ササが茂ったところを通り抜けると、なんとズボンがずぶぬれ。こりゃいかん!と雨具の下を付ける。この辺りはすでにミズナラの森である。見渡す限りミズナラが生い茂っている。よく見ると、ホツツジの残り花がある。マンサクも多い。ミズナラ主体で、ナツツバキ、シャクナゲ、ブナ、ダケカンバの混じる森を登っていくとピークに至る。ホツツジが実に多い。ミヤマママコナも姿を見せてくれた。

 少し降って登り返すと三国峠に至る。ミズナラ、アカマツ、ヒメシャラ?、トチノキと姿を双眼鏡で眺める。晴れ間はあるのだが、東側から雲が湧き出てくるので展望はもう一つ。やっとミズナラの1本に実ができているのを見る。ここまでずいぶんミズナラの実が落ちていたが、緑色で小ぶり。今年は木に力が無く、早いうちに実を落としたのかと思う。この前の台風も影響したのかも知れない。


アキギリ

 ヤマハギと思ったのは、マルバハギか。ススキも穂を伸ばしている。などと観察していると一人が登ってきた。『この道が立派なトイレに出る道ですか?』と。『そうです』と答えたのみで、自分は降り始める。滑りそうな道を慎重に少し降ると枕谷の源流に至り、沢沿いに小さな流れを渡りながら歩く。ここもツリフネソウが多いなと見ていたら、少し違う紫花がある。

 ワニが口を大きく開けたような姿をしている。面白いなと簡単にデッサン。葉は対生。特徴のある形をしていている。鋸歯あり。帰ってきてから図鑑を調べ、赤坂山の自然ハンドブックを見て、やっとわかった。アキギリ(→写真)だ。この道、アザミが多い。トリカブトも見る。ヘビも出た(笑)。黒い花に四角の茎、葉は対生。これは例のクロバナヒキオコシだ。

 やがて杉の植林地帯に入る。沢沿いでジメジメした地帯を歩くと地蔵峠への分岐に至る。中山神社を経て、完全な杉の植林地帯を抜けると杉尾峠への分岐。ここから林道が続いている。長治谷作業所は学校の跡か、昔の「學」看板あり。ここのテントサイトは区画された砂地が5つ。区画一つは山用のテントなら2つ張れる大きさがある。3張りありキャンプ中。トイレは無い?。ここから地蔵谷の車止めまで15分だった。林道を車を止めた場所まで戻る。途中、ブナの原生林があるとの場所でも観察したが、ブナの実は見られず。

 ・ブナにはまったく実が見られなかった。
 ・ミズナラの実も、ごくわずか。
 ・植生など、赤坂山とよく似通っているものだと思った。



【あとがき】

 木々の葉が紅葉・黄葉の始まりを見せていました。ハゼの木が黄色くなりかけて。ブナやミズナラの枝先が、色づき初めて。ただ、単に枯れだしたという表現が正しいかも知れない。様子を見て、このまま秋になだれ込むのかと感じたものでした。木々の実が不作ということは、熊などの動物たちが里に下りてくる可能性が高いということかも。気をつけておくべきかも知れません。


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