朝日連峰・紅葉の祝瓶山へ
2005/10/9

'05/10/16登録

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《プロローグ》

 この年、奈良・大峰や四国・石鎚山のブナの実は不作。けど、滋賀県は赤坂山は大豊作。白山も豊作。だとすれば、日本海側は総じて豊作ではないかと考えた。それを確認するために、白山より北へ様子を見に行きたい。これが今回の旅の発端だった。

 10/7金曜日の夜、23時前に大阪を出立。今回の旅は「北へ走ろう!」である。白山より北のブナの様子を見たい。はて、どこまで行けるか。名神尼崎から京都東を抜け、湖西道路を突き進む。敦賀へ抜け、日本海側をひたすら北へ向かう。R8だけど。途中、富山の道の駅新湊で仮眠 10/8 05:30。ここを10時前に出立、新潟県は名立、「うみてらす名立」で昼食。2Fレストランの海鮮丼。子持ちのエビが乗っていた。新鮮で旨い。続けて日本海を眺めながら走るとしよう。

 R8〜R116〜R7と新潟を通過、R113で小国着は19時前。山形県は置賜郡。飯豊山地と朝日連峰の間。道の駅「おぐに」でビバークとする。地元の酒を買い、コンビニの弁当で夕食を済ませる。酒は旨いね。米も旨い。米所って、やっぱ日本的で、ありがたい。明日は飯豊か朝日か、その両方か。

《朝日連峰・祝瓶山へ》

 朝5時。携帯電話の目覚ましで目覚めるが、雨が降りしきる。これでは登れないともう一眠り。10/9 07:30起床。雨が止んで晴れ間が見えだした。朝日連峰の最南端、祝瓶山を目標とする。以前、はんなり小屋手前までブナ観察をしたことがある。

 道の駅小国から少し東へ小国町に入り、北上。五味沢方面へ。さらに奥へ突き進む。後から手慣れた運転の車が。お急ぎなら急ごう^^;。いや、駐車場が満杯になる前に確保せねば。針生(はんなり)平を快調に進む。一車線の林道となる。今朝のずいぶんの雨で、水たまりがバシャバシャ跳ねる。今は晴れ。気持ちが高ぶる。やがて目的地の終点。なんとか駐車場所を確保する。テントを張っているけしからん奴が。早く撤収しろよな。着替えして出発準備。今日は祝瓶山(いわいなべやま)を目指そう。うん、手軽に朝日連峰の一つを踏破しておこうというわけ。以前にカナクラ小屋手前まできたとき、知り合った人が登ってきたと言っていた。手軽だろう…^^;。

 ブナは豊作。駐車場がすでにブナの森。でもまだ実の殻が固く閉じたものが多い。まだこれからですな。今日は晴天。ゆるゆるとデジカメの写真を撮りながら、ときには動画を撮りながら、観察しながら…。ほんにゆるゆる。とあるピーク。大朝日岳が見える。双眼鏡で眺めると人の影が10人くらい。何故かこのときうらやましいと思う。この晴天に頂に登り眺めている。朝日連峰が眺められるのね。ん!なんと紅葉だぁ〜。頂上近くが見事。ん?あの右の先鋭峰は何て山?なんて思っていた。ブナの実がかっと開いて生き生きとした姿を写真に撮りたい、眺めたい。そう思っていたのだけど、さすがに高木。時期も少し早いしなかなか。

 とあるピーク。先に行った人たちが次々と降りてくる。そろそろ頂上が近いのではと聞いてみた。すると、あの先鋭峰の向こうだという。お〜、まだまだあるぞぉ〜。こんな調子では頂上に行き着けない。諦めかけたところへ、『もったいない!』と言われる。トントンと登れる山ですよと女性が言う。こうなるといったんは自然派人間でピークハンターを降ろした自分だけど、にょきにょきともたげてくる。よし行こう。あ〜ぁ、これがまたまぁしんどいことになるとは…。

紅葉の祝瓶山山頂方面を眺める

 先鋭峰に着く。もうだれもこの時間に登ってこない。回りの紅葉が美しい。朝日連峰の紅葉を楽しめるとは思ってもみなかった。がぁ〜、目指す頂上は、この先の先。鍋の形に見えるのはあれか!15時を超えて新たな行動に入るのは山では御法度。どうやらあれかという手前のピークに至る。雲行きが怪しいと思っていたら、一瞬で回りが雲の中に入った。霧。最後の算段。行くか止めるか。確実に日暮れとの競争になる。幸い目の前が見えなくなるってほどではない。ええいままよ!

 10/9 15:17 祝瓶山頂上。1,417m。雲の中。霧と風。もはや一目散に降りるしかない。感慨に浸る間がない。とって返す。もう日が早いからね〜。夏の19時まで明るいとは大違い。もう誰も通ることのない道を、ひたすら降りる、降りる。日暮れに負けないよう。何年か前に痛めた膝をたまに揉みつつ。

  08:40登山口発〜ゆるゆる〜15:17頂上。6時間半あまり…。
  15:17頂上〜一目散〜17:23登山口。2時間あまり。セーフ。真っ暗直前。
いや〜、いい山だったね。あそこから朝日連峰が続くのね〜。

《山を降りて、帰阪へ》

 山を降りて水場でいつもの水汲み。真っ暗な中をライトを点けて。んで、片付けて退散。目指すはりふれ。この周辺はオートキャンプ場になっている。この施設は宿泊、研修会など行なわれるところ。五味沢から小国の町へ向かう途中にある。もちろん、風呂に入らせてもらう。\500。お土産もここで買う。さて帰阪だ。出たのは17:30を過ぎていたな。

 携帯の効く道の駅おぐにへ。20:08。家族に連絡を入れる。R113にて新潟へ。この時間なら早かろう。R7に入る。新潟にて、R8に入ってしまう。ここはいつもまともに行けない。表示がどうもピンとこないのだ。大阪人としては。R8は信号待ちが多い。ひっかかる。時間が読めない。戻って…。R7の西行き続きの入り方が判る。新潟西で降りて、何やら細い道に入り込む。何とか無事にR402へ。そう、海岸ぶち。信号も少なく、快調に走れる。飛ばす車も多い…。たまに町並みに戻るが、海のそばを忠実に南下してくれる。そのうちにいつかR352に表示が変わる。この道も同じ。

 柏崎からR8に変わる。合流するのだけど、相変わらず海岸ぶちの快適道。上越を超えて、名立を超えて(夜では買い物もできず…)、道の駅親不知で休憩。10/10 深夜2時ごろだったか。コンビニ弁当を夜食に食す。コンビニ侮れず。昨日食べた鮭といくらの弁当も旨かったが、このホタテご飯も美味しい。日本海らしい味に満足。うらやましそうな猫を尻目に次の行動へ。

 R8の富山、石川、福井を抜けるのが、長いのね。さすがに高速へ逃げることにする。立山で高速に入る。眠気を押さえながら小矢部川SAへ。ここでビバーク。04:30。むにゃむにゃ。起きたら09:40。まずは朝食とレストランへ。朝定食\900。そこそこですな。コーヒーも頼み、記録をしていたら11時を過ぎた!

 ひたすら高速を走る、走る。さすがに三連休だわ。車が多い。敦賀で降りてマキノへ向かう。米原回りは遠く感じるからね〜。マキノ着が13時過ぎ。白谷温泉で汗を流す。久しぶりにまともな山に登ると体のあちこちが…。ほぐす。
この温泉、建て替えしているのですな。楽しみ。三連休の最終日。京都方面は避ける。いつもの小浜回り。快適に走れたのだけど、詰まったのが川西。R173がストップ(長い渋滞)。勝手知ったる場所。十数年ぶりに一庫レイク(ゴルフ場)の前を通り、湖を迂回。渋滞を尻目にスイスイ。県道12号に回るが、ここでダウン。いや、ここも渋滞なわけ。仕方なし。じりじり^^;。荷物をあげて帰宅は20時近かった。走ったね。1460kmほど。ようやるわ!

《エピローグ》

 デジカメの512メモリー一杯に撮った写真を眺めて振り返る。なかなか良い旅だったと。山頂付近の錦の紅葉。撮った動画を見ているとしみじみ思う。あの先鋭峰でのこと。ただし、下りでここで見たものは、暗雲立ちこめる姿。黒い雲が後から流れてくる。そのうちに空全体を覆うような感じを受けた。荘厳な光景を見たと感じたもの。

 まだ晴れている登りのこと。下からブナの木を眺めあげると、葉が透き通っていて美しい。ブナの実を撮しながらそう思う。ブナは優しい。普段の年は、その実はほとんど食べ尽くされる。数年に一度、豊作となるのは、種の保存機能。この年ばかりは食べ尽くされないよう、たわわな実を付ける。食べきれないほど。葉っぱは透き通る。いや、光をある程度は通す。完全な日陰にはしない。これが林床を豊かにするものであると思っている。

  ブナの黄葉。ゴゼンタチバナの紅葉。
  ミズナラの黄葉。アサノハカエデ?の黄葉。
  ?カエデの紅葉、ハウチワカエデの紅葉、
  シャクナゲの緑、ショウジョウバカマの緑、
  イワカガミの緑、タカノツメの黄葉、
  ダケカンバの真っ赤な実、オオカメノキの紅葉、
こんなのが散らばっていた。(間違っている可能性もあり^^;)

 そう、ここらの赤とんぼは純真。写真を撮っているとね、その手に留まりに来る。写真を撮られても、歩き始めても、動かない。ブナの実。麓では枝先までたわわな木が多い。けど、さすがに高度を上げて自分の言う「稜線ブナ」になると、実が付いていない。途中のブナは遙か上で実がなる。マキノも似たようなものであろうか。


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