食事療法をうまくするコツ〜脂肪の摂り方
★ 高エネルギーで使用量がわかりにくい油脂類
表5の油脂類は食事療法を進める上で扱い方に特別な注意が必要です。
その理由は、 @ 少量でも高エネルギーであること
A 油脂類は調理の過程で使われることが多く、特に揚げ物は調理した後、
吸い込んだ油が目に見えないため、どれだけ油を取ることになるのかわかりにくい、
といった特徴があるためです。
★ 揚げ物はこれだけ油を吸っています!
調理する材料の種類や形、衣のつき方、揚げ物の温度、揚げ時間によって吸油量は変わります。
吸油量が多くなる!ってことは?
@ 揚げ油の温度が低い。
A 揚げる材料の表面積が大きくなる。
B 素揚げ → から揚げ → フライ(パン粉揚げ) → 天ぷらの順に多い。
≪材料の種類による≫
素揚げ : 水分の多いものは多くなる。
から揚げ : 同じ材料の場合、小麦粉をまぶす方が、片栗粉よりも多くなる。
天ぷら : 衣が多くつくほど、多くなる。古い油の方が油ぎれが悪く、多くなる。
例えば、じゃがいもの素揚げの時、50gのじゃがいもをくし形切りして揚げると
油の吸油量は1gです。せん切りした50gでは3gの吸油量です。
薄切りした50gのじゃがいもでは、8gの吸油量になってしまうのです。
★ 各種の揚げ物の吸油量
調理法 | 調理例 | 中身の材料の重量 | 吸油量 | 衣の使用量 |
素揚げ | 揚げ団子 かぼちゃ なす 春巻き ドーナッツ シューマイ ギョーザ |
20g 20g 75g 57g 25g 15g 24g |
0.2g 1g 10g 7g 4g 0.5g 0.5g |
|
から揚げ |
カレイ タラ サバの竜田揚げ 鶏肉 豚もも肉 揚げだし豆腐 |
170g 15g 30g 40g(骨つき) 10g 65g |
12g 1g 1.5g 0.2g 0.5g 4g |
7g(小麦粉) 1g(片栗粉) 2g(〃) 2g(〃) 1g(〃) 3g(小麦粉) |
天ぷら |
イカ アジ エビ ししとう なす かぼちゃ かき揚げ 生しいたけ 青じそ のり さつまいも さやいんげん 揚げ玉 |
10g 55g 25g 4g 10g 15g 10g 7g 0.5g(1枚) 0.4g(1/8枚) 10g 10g 18g |
約 2g 7g 約 3g 1g 2g 2.5g 7g 2g 3g 2g 1g 2g 8g |
5g 15g 11g 2g 7g 7g 32g 5g 5g 6g 4g 7g
|
フライ |
タラ カキ アジ イカ エビ 豚ロース ポテトコロッケ チキンカツ メンチカツ はんぺん |
100g 15g 65g 20g 25g 100g 90g 70g 110g 105g |
10g 3g 13g 4g 3g 13g 6g 9g 7g 16g |
14g 6g 23g 7g 6g 26g 9g 29g 18g 24g |
市販の冷凍 |
メンチカツ お弁当トンカツ チキンナゲット エビフライ イカリング 白身魚 野菜コロッケ フライドポテト |
≪全重量≫ 55g(1個) 21g(1個) 23g(1個) 18g(1個) 16g(1個) 50g(1個) 60g(1個) 100g(約7本) |
7g 4g 0.5g 5g 1g 13g 10g 6g |
市販の冷凍物 はすでに衣が ついた状態に なっていて、 衣の量が多い だけ吸油量は 多くなります。 |
●油〜小さじ(5cc)=4g 37kcal
大さじ(15cc)=13g 120kcal
となります。
★ 吸油量を減らす方法
材料はあらかじめ、蒸すかゆでるかしておきます。
衣はできるだけ薄くつける。
比較的、高温の油を使って短時間でさっと揚げる。
★ 限られた量の油を有効に、節約して使うために
1.計画的に使う。
例えば、決められている1日量の油脂類をあらかじめ何に使うか
決めておきます。
2.焼く・蒸す・茹でるを心がける。
からいり、網焼き、蒸す、蒸し焼き、ゆでる、湯せんにするなど、油を使わないで
すむ方法で調理します。
3.アルミホイルに包んで焼く。
調理法の一つで手軽に利用できます。
4.電子レンジ加熱を利用する。
下ごしらえや仕上げにも活躍します。
5.樹脂加工・テフロンなどのフライパンを活用する。
油が少なくても、おいしく調理できるので、便利です。
6.まとめて調理する。
炒め物などを調理する時は、1人分より数人分まとめて調理する方が
1人当りの油の使用量は少なくてすみます。
平成12年度 病院実習生 天使短期大学 小室 さくらさん 作成
<参考文献>
1.知ってトクする調理のためのベーシックデータ 増補版、 女子栄養大学出版部(1999年)
2.「食品交換表」を使って糖尿病の食事をつくる本 鈴木吉彦・塩澤和子 主婦の友社 (1996年)