著者 | ジーン・ブルーワー |
訳者 | 風間賢二 |
出版社 | 角川書店 |
読破期間 | 1998.4.25〜4.26 |
原書:K-Pax
この本、結構前から目をつけていたのだけれど、ようやく買う事が出来ました。「 M31」を買う時もこんな話かなくらいに思っていたのであれには面喰らいましたが、あれとは違ってこちらの話は心が救われます。(^_^) そこまで言うのは言い過ぎかも知れないけれど。この本、最初のうちはこれだけ事実と一致しているのだから早くプロートは本当に宇宙人だと認めてもいいのではなんて思ってましたが、実はそう言う話ではなかった訳ですね。(もちろんそうでない可能性もあるのですが。)
そしてふと気がついたのが、自分も実は軽度の分裂症なのかも知れないと言う事。
誰でもと言うか、一部の人は幼少期に自分の分身の役割を自分の心のうちに作り出してしまう訳ですが、私もそう言った物を夢想した事があります。私の場合それは神としての人格なのですが、名前に奇妙な一致を見ました。一人はあるたわい無い?本の主人公の彼女役の名前として出ていました。もう一人は西洋版コックリさんの名称と一致しました。もちろんその名を私が思い付いたのはそれらの事を知る以前の事です。
だから最初にこの本読んだ時にどうして主人公の精神科医がプロートが宇宙人だと認めないのを不思議に感じていましたが、それは実は私がプロート(=ロバート・ポーター)と同じ様な症状であったからなのではないかと読後思い始めました。程度は私の方が軽いのかも知れませんが、結局同じ現象であるのに違いはないと言う事に思い当たったのです。
なんだか、プロートは本の中の精神病患者だけでなく、私にまでその癒しの力をもたらしたみたいです。
この心の内のもう一つの人格を真実のものとして肯定した物語としては「スピリチュアル・ウォーカー」があるのですが、それを精神病の範疇として扱ったのが本書だった訳です。それに対して、「 M31」はそう言ったものを肯定も否定もせずに、読んだ人としては気狂いの物語だと思わせる様になっています。ただし、それだけでは物語としておもしろくなくて、この本ではプロートの存在を否定もしていないところに深みがある訳です。(そして、「 M31」では真実を見えなくしてしまう事で不思議な効果を出している訳です。)
ところで、この本の作者、ジーン・ブルーワーですが、この本の主人公の精神科医もジーン・ブルーワーで、妻の名も作者の妻と同じ、そして、作者の経歴が遺伝子関係と来て、出来過ぎと思ったのですが、あとがきにも同じ様な事書いてありましたね。しかも、"Gene Brewer" とは。(^_^;) やっぱり、この本の登場人物が実在の人物と思わせる為の作為なのでしょうねえ。
2002.4.17 追記:
ついに映画化されて、日本でも上映されましたね。(邦題名は、「光の旅人」なんてのが付いているのでお間違えのないよう。)
今日、見に行きました。
原作のイメージを忠実に再現していて、非常に心暖まる映画に仕上がっていましたね。原作よりは、どちらかと言うと、プロート実在説に片寄っているようでしたが。
これで、この本の絶板も解かれ、再版されるのでは?って気がします。
めでたし、めでたし。
ところで、恒例の読んでから見るか、見てから読むか、ですが、映画が忠実に原作のイメージを崩す事なく製作されているので、どちらから行っても良いでしょう。
但し、映画を見た方は原作も読む事をお勧めします。細かい心理描写などは、原作を読まないと分からないですから。
あと、これから映画を見る方に忠告です。
エンディングのテロップが流れ出したからと言って、すぐに席を立たないようにしましょう。
最後まで見ると、ほんのちょっとだけ良い事がありますから。
#すごい、期待されても困るのですが。
もう既にテロップの後を見なかった方、御愁傷様でした。(^^;;)チーン
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鈴木祥一 | まさか自分自身を見つめ直す事になろうとは。 |