○有珠山噴火(2000.4.3)
北海道の有珠山が噴火した。前兆となる地震活動も顕著で、事前に噴火が予見出来た貴重な一例である。
畑の真ん中が突然隆起し誕生した昭和新山を始めとして、有珠山の噴火の形態は個性的だ。山頂の火口からではなく、中腹の何でもない所からいくつも噴煙を上げる様はまさに自然の驚異、無責任な立場から言えば美しいとさえ思う。(どんなにSFXやCGが発達しても現実にはかなわない)
有珠山噴火の図(朝日新聞サイトから無許可にて転載)
こういった元々天災が予想されるような地域に住む人々の気持ちとはどのようなものか。こんな危険な場所に住まなくても、と端から見ればつい思ってしまうが、人は先祖代々生まれ育った場所をやすやすと捨てられるものではないのだろう。また、このような天災そのものも生活(人生)の一部として受け入れているのかもしれない。ただ恐れ、忌む対象としてだけではなく、時として敬うべき”神”としてとらえているのかもしれない。
とは言うものの被災が最小限であることを祈らずにはいられない。
ところで寺田寅彦の随筆によると、環太平洋地域の火山の名称には有珠(うす)や阿蘇(あそ)といった似た語調のものが多いという。そしてそれは英語のash(灰)の発音に似ているのも何か関係があるのではないかということだ。これを例にしても古代における地域間の交流は現代人が思う以上に活発だったのかもしれない。