○今さらのたまごっち
先日、日本橋高島屋に加藤唐九郎展を見に行き、その帰り新橋まで歩った。途中、博品館の店頭で”てんしっちのたまごっち”を売っていたので、つい買ってしまった。店頭にはかつての行列のようなものはなく、通行する人々もどちらかというと冷ややかな反応で、ブームは去ったかのように思える。
そもそもこの手の”バーチャルペット”はパソコンソフトの方が先行していたし、グレードも高かった。それらに比較すれば稚拙とさえ言える”たまごっち”がなぜ受けたか、マスコミでは様々に分析されていたが、自分で持ってみて実感したことがある。
理屈抜きにとりあえず”かわいい”のである。ドットが目につき、ぎこちない動きしかみせないキャラクターに気持ちがこもってしまうのだ。始めのうちはしょっちゅう呼び出されうざったいのが、段々呼ばれなくなるときの寂しさ。日に日に成長し、キャラクターが変わっていく喜び。確かに、ペットを育てる感情に近いのかもしれない。
わが”てんしっち”は3日目の夕方に”おやじっち”になっていた。いい大人が日中そうそう世話を見ていられるわけではない。その結果なのだが、これはこれでかわいい。夜更かしで、11時まで寝付かないこのおやじは次に何に成長するのだろうか。(97.11.6)