• 2003年今月の1枚

    December

    beth orton/pass in time
    イギリスのシンガー・ソング・ライター。いままで3枚のオリジナル・アルバムを発売しており、それらの集大成した2枚組アルバム。アコースティックで陰影のあるサウンドに彼女の繊細なヴォーカルが絡みつく。例えるならば、ジョニ・ミッチェル、エディー・リーダー、リッキー・リー・ジョーンズ、トレイシー・チャップマン、大貫妙子・・・・。ちょっと冷っとした部屋でストーヴの炎を見ながら聞くにはいちばんいい。


    November

    THE BEATLES/Let It Be ...Naked
    21世紀になり発売するビートルズの新作という振れ込みで発売の問題作。このアルバムの音源は1969年発売「アビー・ロード」以前にレコーディングされたものとのことであるが、オリジナル・アルバムはフィルスペクターがプロデュース、アレンジを施して発売されたとのこと。早く言えば別ヴァージョンってこと。そういえば確かに最新のリマスタリング技術の助けもありリアルに生々しく音像が伝わってくる気がする。でも、「ACROSS THE UNIVERSE」はビートルズの曲の中でベスト5に入る好きな作品だ。


    October

    MARIYA TAKEUCHI/LONGTIME FATORITE
    この時代にこんな企画アルバムが出ること自体、奇跡である。竹内まりや&山下達郎だから為し得た技である。ラジオから流れてきたこれらの曲にはなぜか甘酸っぱい思い出が重なる。アメリカン・ポップスも、カンツオーネも、フレンチ・ポップスも関係なく一つのポップスであった。こうして聞いてみるとオリジナルの作品の素晴らしさ、シンガーの歌の力を改めて感じさせられる。当時、坂本九や、弘田三枝子、伊藤ゆかり、森山加代子たちがこうしたポップスをピックアップして私たちに聞かせてくれた。まだ、洋楽の情報などが少なかった時代であった。当時私たちがこれらのポップスを楽しんでいたのと同じように、21世紀の今、竹内まりやが彼女流に再現してくれた。これらの曲は思わず聞き入ってしまい、また、なぜか癒される。



    September

    NEIL YOUNG&CRAZY HORSE/GREENDALE
    なにか淡々としたギター、淡々としたヴォーカルが妙に 心に伝わってくる。「グリーンデイル」という架空の街をテーマにしたある意味でコンセプチュアル・アルバムだという。最新のロックよりなぜかそのシンプルなサウンドが刺激的である。ニール・ヤングはワン・アンド・オンリーな麻薬的魅力と、衰えることのないそのテンションは彼が健在であることを感じさせてくれる。



    August

    JOYCE/JUST A LITTLE BIT CRAZY
    ジョアン・ジルベルトの初めての来日。坂本龍一のボサノバへの傾倒等ボサノバが静かなブームである。そのボサノバの軽快なフィーリングは心地良くたまに聞いてみたくなる。このアルバムはブラジルの代表的アーチストであるジョイスのオリジナル・アルバム。1960年代の終わり頃10代でキャリアをスタートしたという彼女。時には力強く、また時にはやさしく訴えかけてくれる。



    July

    STEVE WINWOOD/ABOUT TIME
    スティーヴ・ウィンウッド6年ぶりのニュー・アルバムである。30年のキャリアを誇る大ベテランであるが、スペンサー・デイヴィス・グループ、栄光のトラフィック、ブラインド・フェイス、ソロとロックのメイン・ルートを歩いてきている。ソロ時代はAOR的なサウンドでポピュラーな存在として若者の支持を得たが、このアルバムは、彼のロックの真髄に立ち帰ったロックを感じさせる内容。久しく聞いたこののないハモンド・オルガンの音色が新鮮である。



    June

    IBRAHIM FERRER/BUENOS HERMANOS
    一時期話題となった「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」、その歌い手でもあるイブライム・フェノールの2ndアルバム。プロデュースはライ・クーダー。キューバ音楽とはロックファンでも楽しめるハッピーで、グルーブ感があって 、そして何か肩の力がふっと抜けるような安らぎを与えてくれる。音楽の根元なんて皆、一緒なんだなと感じさせてくれる。


    May

    NORA JONES/come away with me
    新人にして今年のグラミー賞の話題を一気にさったノラ・ジョーンズ!アヴリル・ラヴィーン、ミッシェル・ブランチなどと共に昨年デビューし話題となった彼女であるが、なんとあのラヴィ・シャンカールと娘とは知らなかった!!おくればせながら買ってきいてみたがなかなかの実力派でポップな中にこの若さにして渋さも兼ね備えていて楽しめる作品で目にウロコ


    April

    MINMI/Miracle
    今年注目のMINMI、最近はアーチスト名でマトモなのが少なくなっているので日本アーチストだか外人アーチストだか分らない。MINMIは日本人。日本の音楽も進化しているがこれが2003年型か?ヒップ・ホップ、R&Bのセンスを取り入れ,音がとにかく前に出ている、イケてる、特に1曲目の「The Perfect Vision」にはヤラれる。余談であるが、安室奈美恵の新曲「 shine more 」は売れないが、彼女にとっては意欲作でMINMIに匹敵するものさえ感じさせられる。


    March

    Yusa/Yusa
    キューバのシンガー・ソング・ライター”ジューサ"。トレイシー・チャップマンをより渋くしたような感じで、その引き締まったヴォーカルからじわじわと伝わってくるものを感じる。ライ・クーダーが傾倒するキューバの音楽 の中にポップなセンスと安らぎさえ感じさせてくれる。


    Feburuary

    SONNY LANDRETH/THE ROAD WE'RE ON
    新所沢に地道にやっているオールド・ロックやらをかけている居酒屋があり、以前、「ジミヘン」とか「ジャニス」というちょうちんがぶらさがっていて今どきある意味で時代錯誤な店だなあと思って気になっていた。だいたい都内で飲んで帰ってくるので近場の飲みやなどめったに行かないがその日は思い切って寄ってみた。けっこういいマスターが1人でやっている。そして常連がぐだぐだ言いながら飲んでいる。お客の好みのブルースがかかっていたりして久しぶりでブルースもいいものだなあと思った。このアルバムはタワーのおススメで買ったが若手ブルース・ギタリストで、新鮮はホワイトブルースを聞かせてくれる。


    January

    PRETENDERS/LOOSE SCREW
    クリッシー・ハインドとパティ・スミスは常に気になる存在だ。死ぬまでロックをやり続けるロッカーはいるが、女性でロックし続けて常にカッコいいアーチストは数少ないということもある。久々のプリテンダーズのアルバムだ。バンドサウンド的魅力には欠けるがのっけから出てくるクリッシーのヴォーカルはやはり魅力的。


    MAINページに戻る